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メッツ株式会社(4744)が会社清算決議 解散価値を予想してみる

「PBR=1倍」=「解散価値」

実際に株をやってる人でも、これを実体験している人は少ないかと思います。
そもそも解散価値ってホントはいくらなの?という疑問に答えが出る事案が
先日発生しました。

それはマザーズに上場している中では最古参の会社、メッツ株式会社です。


つい先日、来年の3月をもって会社を解散する決議が
取締役会で承認されました。


「解散ならびに解散に伴う臨時株主総会招集のための基準日設定に関するお知らせ」
URL:http://www.metscorp.co.jp/pdf/news/20111114_kaisan.pdf


これに伴い、臨時株主総会が2012年1月30日に予定されています。


会社の解散は「解散決議」と呼び、特別決議に該当する事案ですから、

・発行済み株式総数の過半数以上の株式を有する株主の出席
・出席者の議決権の3分の2以上によって決議


と定められています。

2011年3月末の株主構成比率を見ると、
現取締役と旧取締役、メッツ創業者とその関連会社で
61.7%の保有比率となっていますから、ほぼ議決は通るものと考えています。


では、議決が通った場合の解散までの日程を確認してみましょう。


 平成24年1月30日 臨時株主総会
 平成24年2月上旬 清算手続開始
 平成24年3月下旬 清算結了日



清算開始から結了までが短いのは、既に殆どの資産を減損処理済みで、
営業実態がほぼ無いも同然だからだと思われます。


では、実際に清算が3月下旬に予定通り結了し、
4月に株主総会で承認を得た場合の残余財産を計算してみましょう。


※ここからはあくまでも予想です。投資判断は自己責任でお願いします。
当サイトの数字を判断材料とされても一切の責任を負いません。




【会社清算結了までの残余財産推移】


※臨時株主総会費用は株主数×1,000円で計算
※清算時株主総会は株主数×800円で計算(対象人数減少)
※清算人報酬は2名×100万で計算
※役員報酬は今期既定の報酬額を月割
※役員退職金は「退職時の役員報酬月額×役員在任年数×功績倍率」で計算
※給料及び手当は在籍人数が不明の為、前期分をそのままスライド
※その他雑費は費用細目が無い為、直近の四半期決算費用との調整として加算
※監査法人報酬がどの時期に支払われているかは不明
※法人税は均等割り分(6か月)
※清算登記費用等は概算
※敷引金は資産計上されている敷金・保証金を半値で計算
※中途解約費用は契約内容が不明の為、賃借料の3か月で計算



2011年9月末時点の純資産合計は265,673,000円でした。
そこから清算までに掛かる各種経費を除いて、残余財産は167,346,936円、
発行済み株式総数が487,800株ですから、清算時の一株あたり純資産は
343円となります。


ただし、これらは新たな債務が発生しない場合や、
公表されている財務諸表等が問題なく正しい事が条件です。

更に言えば、私自身の憶測で費用計算している為、
例えば中途解約違約金や敷金・保証金の全額返還、
役員退職金を支払わないというケースが生じた場合、
監査法人報酬は期首に支払い済みであったりすれば、
大きく金額が変動する事になります。


費用が少ない例として、監査法人報酬は支払い済み、
役員退職金と中途解約違約金はゼロで計算すると、
最終的な一株あたり純資産は415円になります。

逆に、株主数が増えすぎ、敷金・保証金も全額が
返還されなかった場合は304円まで価値が落ちてしまいます。

試算結果の下限上限の範囲を合わせると、
304~415円の間辺りが予想される解散価値となりそうです。



ただ、私が想像しているよりも多くの経費が掛かる可能性の方が高いです。
そもそも会社の清算に関与したことがありませんから、全て素人の憶測です。

今回は折角なので勉強代と思ってほんの少しだけ買ってみました。
「PBR=1倍」=「解散価値」の意味を知りたいと思います。


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No title

>>E様

コメント欄から恐縮です。

お伝えいただき有難うございます。
こちらこそ、大変参考になりました。

No title

どもども。訂正です。
法人税の件は、均等割+事業税の外形標準課税
との事でした。

後、気になるのは、こうなると委託保証金を待つ
より、待つ事によるコストの方が大きくなる可能性
がでてきます。
(保証金を放棄して、予定通り3月で清算結了させる方
がいい。)

ただ、これをやるかどうか(清算人は報酬取りたいでしょうし)
法的にできるかどうか
分かりませんが。

No title

>えいじ様

なるほど。外形標準課税がありましたね。

それと、宅建業の保証金については
あくまでも債権者保護の観点から設けられているものですから、
ご懸念通り、放棄は出来ないものと解すべきかと思います。

どうやら当初予定していたよりも
清算決了まで時間がかかりそうですね。

No title

ご覧になるかわかりませんが追記です。

今期の法人税に関しては既に未払い法人税等として
負債の部に計上されていますから、純資産には影響しないかと思います。
(支払い時は負債の「未払法人税等」を振出し、資産の「現金及び預金」を振出し)


また、解散決定した法人に適用される外形標準課税についてですが、
清算中の事業年度分は資産割の負担が無くなるようです。

参考URL:http://www.cs-acctg.com/useful-kyuyo/001602.html


東京都特別区の外形標準課税は資本割が0.21%です。
また、法人税額に対してかかる法人税割は20.7%、
均等割りはメッツの会社規模から95万円です。

現在資本金が23億4,675万円ですから、

23億4,675万円×0.21%×1.207≒595万円

595万円+95万円=690万円

計上されている金額の7,117千円と誤差が生じているのは、
付加価値割を計算に入れていないからです。


現在の付加価値割を20万円とし、
均等割り分を95万円とすれば
清算事業年度分の支払い法人税は100万円程度で済む物と思われます。

参考URL:http://www.tax.metro.tokyo.jp/kazei/houjinji.html(東京都主税局)

No title

どもども。色々考えるきっかけになり、勉強になります。
私が調べた限りでは、
資本割の件ですが、資本金に対して×0.21%ではなく、
資本金+資本剰余金に対して×0.21%のような
気がします。(正確には、少し違う?)
http://www.uehara-kaikei.jp/column/?p=417

ただ、清算事業年度にかからないのは間違いないようです。

後、調べたり考えたりして気づいた点ですが。
1.株主総会は3回必要となる可能性が高い
解散決議等(これは既出です。)
清算財産目録等の承認(会社法492、2及び3)
決算報告等の承認(これも既出です。)
2.監査役の報酬は2月以降も必要となるはず
会社のリリース内容を見ても、監査役の辞任について
触れていません。辞任は、取締役のみです。
法的にも、公開会社は監査役の設置が必要なようです。
3.従業員の人件費は、多少増加がある
1月の決議をもって、すぐに解雇する場合でも
解雇予告手当・有給の買い取り等は必要です。 

Re: No title


お返事、ありがとうございます。

資本割の課税標準は、
法人税法上の資本金等の額がベースになるようですね。


「資本金等の額とは」
URL:http://www.smbc-consulting.co.jp/company/seminar/tokyo/column_ohta/ohta_20080731.html

「資本金等の額(法人税法施行令第8条)」
URL:http://nzeiri.sppd.ne.jp/hojin/18/rei/8.htm


細かい調整はあり、単純に「資本金+資本剰余金」とはならないようです。



その他疑問点について


>>1.株主総会は3回必要となる可能性が高い


私も調べてみましたが、下記サイトが流れとして分かりやすかったです。

URL:http://www.shougyoutouki.com/kaisann/nagare.htm

確かに3度必要になりそうです。


>>2.監査役の報酬は2月以降も必要となるはず

会社法では公開会社は監査役設置会社として指定され、
少なくとも3人以上でかつ過半数以上は社外監査役である必要があるようですね。

常勤監査役に対しての報酬は年6,499千円ですから、
4月以降の任期分(約4か月)を考慮するしておかなければなりませんね。


>>3.従業員の人件費は、多少増加がある

年次有給休暇の買上げは義務ではない為、
実際はどのような取り扱いになるかは分かりません。
(現在営業実態が無い為、総会までに各々消化している可能性もあります)

また、解雇予告手当についても解散決議から30日後の解雇であれば
不当解雇には当たらない為、こちらも支払う必要はないと思います。

つまり、2月一杯まで所属する従業員を雇用していれば問題ない物と考えられ、
その場合は2月分の給与のみを計算に入れておけば良いものと考えます。

ただし、株主総会開催時にある程度人手が必要なのは確かであり、
もしかしたら清算結了まで従業員もそのまま継続雇用という形を
取る可能性も否定できません。

この辺りは少し多めに費用見積もりが必要ですね。
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プロフィール

楽天家業

Author:楽天家業

 大学在学中から事業でお金を貯め、それを元手に卒業後は個人トレーダーとして生計を立てていました。(現在はトレード業務一部復活)

 2008年のリーマンショック時に信用取引による過剰リスク状態で惨敗。そんな手痛い経験もあり、このままの人生で良いのかと自分を見つめ直し、同年からウェブサイトの作成業務、2009年からは独立系FPとして相談業務を行うため、自分の経験を活かして日夜、ファイナンシャルプランナーの分野で活動を行っています。

<略年表>
2009年9月AFP登録
2011年7月CFP登録

 現在、主にFP法人様や執筆関連でお仕事承っております。

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