民間平均給与よりも老後生活費の方が多い?

先日、国税庁から民間にお勤めの方の平均給与が発表されました。

【参考】平成23年民間給与実態統計調査(PDF)

この調査結果(震災地域の影響除外)によると、
給与所得者の平均給与は409万円(男性504万円、女性2268万円)となり、
対前年比で0.7%減(3万円の減少)となったようです。

さて、ここで比較してみようと思うデータがあります。
それは、老後の生活費を計算する上でよく使用されるデータである、
総務省家計調査報告の「夫婦高齢無職世帯の実支出(65歳以上)」、
そして生命保険文化センターの「ゆとりある老後生活費」です。

【参考】「各種統計データから、老後生活費に関する実態を見てみよう

各数字を列挙すると、総務省の数字は月額約25.7万円、そして文化センターは36.6万円です。
年間に直せば308万円と439万円となります。

現役所得者の数字である給与所得者の平均給与が409万円
そして老後の生活費が439万円

流石にこれは無理があるのではないでしょうか?


ちなみに日本FP協会が平成19年5月に調査した、
セカンドライフと退職金に関する意識調査」(PDF)では、
セカンドライフ(つまり退職後)の生活費として希望する平均額は月30.5万円、年366万円です。

総務省の実収入データとは乖離があるものの、まだ此方の方が現実的と言えるかと思います。

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各種統計データから、老後生活費に関する実態を見てみよう

老後生活費を算出する時、よく引き合いに出されるのが生命保険文化センターの
「ゆとりある老後生活費」である36.6万円です。

ただし、当センターが同時に調査した、
老後の最低日常生活費は22.3万円とされています。
あくまでも毎月贅沢しないで普通に過ごすには
22.3万円で良いと判断されているようです。


「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?(生命保険文化センター)」
URL:http://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/oldage/7.html


ちなみにこの調査はあくまでも意識調査の結果です。
それぞれの回答者が現時点の生活費に基づいて,
「将来この位なら生活は出来るだろう」という判断の元、
回答した結果と言えます。

そう実態とかけ離れたものではない可能性はあるものの、
調査対象が18~69歳と老後生活を認識出来ない層が含まれておりますので、
ここは実態により近い、50歳以降の調査対象者の回答を見てみる事にしましょう。


「第3章 老後保障 老後の最低日常生活費(生命保険文化センター)」
URL:http://www.jili.or.jp/research/report/xls/h22hosho/3-4.xls(エクセル)


50歳代以上の平均は22.7万円でした。
本来なら世帯人数や単身者の影響を省かなければなりませんが、
そこまで調査がカテゴライズされているわけではないので
この数字をベースに老後の必要生活費を計算してみましょう。


仮に老後の期間を65歳から90歳までとするなら、
この25年間で必要な費用を計算してみると、


22.7万円×12か月×25年=6,810万円


となります。
老齢年金と合わせて、6,810万円あれば最低限の生活は出来ると思われているようです。


仮に65歳からの世帯所得が国民年金79万円×2、厚生年金100万円であるなら、
所得税と公的な保険料を除いた年間の手取り収入は約220万円です。

つまり、25年間で5,500万円の所得があるわけですから、
最低日常生活費との差額は1,310万円程度となります。

1,310万円なら、30歳から65歳まで毎月3万円(年間36万円)を年利0.3%(税引後)
で積み立てれば問題なく貯まる額、という事が言えますから、
世間で言われているように無理をしてお金を貯める必要性があるのかと、
少し疑問に思う所ではありますね。


そこで、22.7万円が最低生活費として妥当な数字なのか?
という疑問も当然湧いてきますので、その実態を見てみましょう。

ここでは、総務省統計局が開示している家計調査の調査結果を用いてみます。

「家計調査(家計収支編) 調査結果」(総務省統計局)
URL:http://www.stat.go.jp/data/kakei/2.htm#syousai


調べたいのは高齢者(65歳以上)のいる二人以上の無職世帯に関する
年間の支出についてですから、調査結果より該当する統計データを探す事にします。

該当するのは、

第3-12表「(高齢者のいる世帯)世帯主の就業状態別 二人以上の世帯」
URL:http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/Xlsdl.do?sinfid=000008635830(エクセル)

となります。

では、この統計データから必要な項目を抜き出しましょう。


【高齢者のいる世帯で夫婦高齢者世帯(65歳以上の夫婦一組の世帯)で無職世帯】

■世帯人員 2.00人
■世帯主の平均年齢 74.8歳
■実収入 226,100円
 (内・公的年金給付 212,940円)
■実支出 257,460円(除非消費支出 228,652円)
 (内・非消費支出28,808円)


非消費支出を除いた数字と、意識調査の数字がほぼ同水準のようです。
無意識的に非消費支出(税・社会保険料)の存在を避けているかのような数字ですね。


では、統計データの実支出入で老後の必要生活費を再計算してみましょう。


実収入:226,100円×12か月×25年=67,830,000円
実支出:257,460円×12か月×25年=77,238,000円

不足分:9,408,000円

となりました。


予想以上に不足額が少ないと感じますね。
ただし、これは平均年齢74.8歳の場合で更に世帯人員が2人のケースですから、
60歳代の支出を考えればトータルで見た場合、もう少し変動すると思われます。

とはいえ、公的年金収入が212,940円、年額約256万円は
私が試算した国民年金79万円×2と厚生年金100万円の合計258万円と大差ありません。

世間で言われているような、高額な老後資産の準備が果たして必要なのか?
少し疑ってかかって、各家庭で一度計算してみると良いかもしれません。


日常生活費についてはお住まいの地域性や家族構成の差、
年金の加入状況や資産の状況の差により様々な影響を受けますので細心の注意が必要ですが、
後悔しない人生を送るには自分で考える事が、最も大事な事なのです。


統計データは抽出方法により様々な影響を受けます。
 ご利用の際は十分にお気を付け下さい。

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高年齢雇用継続給付って何? 【定年退職後シリーズ1】

高年齢雇用継続給付とは、
60歳から65歳までの雇用保険加入者に対して支払われる
賃金の減少分を補填する制度です。

同じような制度に高年齢再就職給付がありますが、
ここでは高年齢雇用継続給付について簡単にまとめて行きます。


高年齢雇用継続給付で支払われる給付金の事を
「高年齢雇用継続基本給付金」と言います。

「雇用継続」と書かれていますが、
同じ事業主で雇われる必要はありません。
現在働いている会社を退職し、次の会社に移っても、
その間に失業給付を受けていなければこの制度の対象になりますし、
勤務形態がパートでも、条件(※1)によっては給付の対象になります。


支給対象者は以下の条件を満たす人です。


1、失業給付を受給しないで雇用を継続する者
2、60歳以上65歳未満の一般被保険者 ※一般被保険者の定義
3、被保険者であった期間が通算して5年以上あること。(基本手当等受給経験者は受給後の期間)
4、賃金が60歳到達時に比べ75%未満に低下

(参考)厚生労働省千葉労働局HP



となります。


申請は本人が行うか、
次の雇い先の事業主が行います。

通例では次の事業主が行う事が一般的ですが、
この制度を知らない事業主もいますので、確認は怠らないようにしましょう。


支給の管轄はハローワークになりますので、
わからない事があればそちらにお聞き下さい。



※1 パートで高年齢雇用継続給付を受ける場合の雇用形態

雇用期間:1年契約等長期である事
週労働時間:20時間以上である事
社会保険:雇用保険の加入者である事


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楽天家業

Author:楽天家業

 大学在学中から事業でお金を貯め、それを元手に卒業後は個人トレーダーとして生計を立てていました。(現在はトレード業務一部復活)

 2008年のリーマンショック時に信用取引による過剰リスク状態で惨敗。そんな手痛い経験もあり、このままの人生で良いのかと自分を見つめ直し、同年からウェブサイトの作成業務、2009年からは独立系FPとして相談業務を行うため、自分の経験を活かして日夜、ファイナンシャルプランナーの分野で活動を行っています。

<略年表>
2009年9月AFP登録
2011年7月CFP登録

 現在、主にFP法人様や執筆関連でお仕事承っております。

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