会社更生法の適用を申請したら株価はどうなるの?(エルピーダの件について)

半導体市場において、世界第三位の生産量を誇る日本の製造業の中核を担っていた会社が
2012年2月28日に会社更生法の適用を申請しました。

上場廃止は3月28日を予定しており、
本日は売りが殺到、直前の300円台から急落して
4円から11円の間で取引される事態となりました。

ところで、会社更生法の適用を申請した場合、
その後の株価はどうなるのでしょうか?

ここでは理論的な面はさておき、
過去のデータからのみで検証してみましょう。


先日、以下のエントリーで東証の上場廃止銘柄に付いて解説しました。

→「過去10年間の東証上場企業における上場廃止理由内訳と廃止率

この時のデータを使って、過去10年間(2002年~2011年)のうち
東証の上場廃止銘柄の中で会社更生法の適用を申請した銘柄の
その後の動きを追いたいと思います。


対象銘柄は以下の18銘柄になります。


8765 大成火災海上保険
6011 新潟鐵工所
5562 日本重化学工業
1804 佐藤工業
1818 日産建設
1351 宝幸水産
3115 テザック
8352 あしぎんフィナンシャルグループ
3304 トスコ
1786 オリエンタル白石
8888 クリード
8878 日本綜合地所
1889 あおみ建設
8902 パシフィックホールディングス
8874 ジョイント・コーポレーション
8577 ロプロ
9205 日本航空
8564 武富士



まとめた表が以下の通りです。


【東証上場廃止銘柄(会社更生法適用申請)の株価推移】

東証上場廃止銘柄(会社更生法適用申請)の株価推移

クリード(8888)とパシフィックホールディングス(8902)は単元株制度非採用銘柄で、
1株単位での取引であり、それ以外は1000株単位での取引である事を考慮すれば、
実質的には1円以下の終値であったという事になります。

トスコを除き、ほぼ全て最終的に1円になりますから、
そのまま保有する意味が全くありません。

にもかかわらず今日のエルピーダのように
いわゆるマネーゲームが起きる現象が始まったのは何故でしょう?

これは上記表を見て頂くと分かる通り、あしぎんFG時に遡ります。


あしぎんFGが会社更生法の適用を申請したのは2003年末の話です。
日経平均が歴史的大底を打ち、公的資金注入を受けて大幅反転した銀行株を中心として
全体がかなりの上昇を見せている時代でした。

また、松井証券を筆頭とするネット証券の手数料合戦が開始され始め、
いわゆるデイトレーダーという存在が少しずつ表に出始めた事で、
売買高が跳ね上がった時でもあります。


1円が高値24円というのは正にドリームでした。
名古屋の鉄塔ドル紙幣ばらまき事件と言えば憶えのある方もいらっしゃるでしょう。

そんなドリームを夢見たとしても、会社更生法の適用銘柄に関しては
最終的に1円で終わっているのです。
(背景には100%減資され、株主の価値がゼロになる事が可能性として挙げられるからです)

まさに触らぬ神に祟り無しとはこの事だとお分かり頂けるかと思います。

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目に見えるリスクと見えずらいリスクを知る ~リスクとの付き合い方~

投資はリスクがあるから」という話を、
誰もが耳にしたことがあると思います。

確かに、企業が発行している株や債券は、
会社が潰れてしまえば価値が無くなってしまいます。
これはとても怖い、と考えるのはよくわかります。

とは言え、預金ですら1つの銀行あたり1000万円を超えていると、
銀行が破たんすれば超えた部分について戻ってくる保障はありません。

そもそも元本の1000万円ですら、国が潰れたらどうなるか分かりませんし、
例え払い戻されたとしても、1000万円という円の価値が
今と同じとは限りません。

このように、人は知らない内にリスクを背負って生きているのです。

そこで、いわゆる投資は出来ないけど節約は出来るという人向けに
発信されている手法の中にも、表に見えずらいリスクがあるんだ、
という事について解説したいと思います。


巷でよく言われるのが以下のような手法です。

 ・保険や年金を一括払いする
 ・カードで買い物をしてポイントを稼ぐ
 ・電車の回数券や切手を金券ショップで購入する
 ・奨学金や住宅ローンを早期返済する
 ・ネットバンクの定期預金を利用する


などでしょうか。
上記に挙げられるポイントは、先払い付加価値です。

先にお金を支払ってそこから価値を生み出すか、(一括払い・早期返済)
お金の流れを変えて価値を生み出すか。(クレジット・ネットバンク)

2つの手法を使うことにより、本来同じ物から
新たな価値を生み出している事になります。


ただ、一見リスクのない手法とも思えるこれらですら、
目に見えないリスクは存在しています。
一つ一つ見ていきましょう。


例えばネットバンクは悪意あるメールに騙されたり、
ウイルス等によって他人にパスワードを知られてしまう危険性があります。
特にインターネットに不慣れな人は気を付けなければなりません。

また、保険やローンの一括払いも、
手元にある現金が減ってしまうリスクがあります。
いざという時に使えるお金が無いのは想像以上にリスクがある事は
自覚しておく必要があるでしょう。

住宅ローンに至っては、団体信用生命保険に加入中である場合、
先払いした分の補てんは将来に渡って受けられないわけですから、
自ら権利を放棄したも同然となります。

更に、ローン控除を受けている人は残高によって受けられる金額が
左右されますから、その点も見逃せません。

ローン残高が減る事でその分の保険料や将来の利息支払いが減る一方、
ローン控除と団信の権利がその分だけ無くなる事は理解しておきましょう。


電車の回数券は期限がありますから、
使用しなかった場合のリスクが伴います。
新幹線の回数券は直接窓口に行っても6枚セットでなければ
払い戻ししてくれませんし、金券ショップの場合は使用期限が近い場合は
買取不可の場合が多く、自分でヤフオク等で処分する以外ありません。
先払いも度が過ぎれば面倒なことになるのです。

カードは何も損していないようで、実はかなり大きなリスクがあります。
それは、無駄遣いリスクです。

手元に現金が無いのに知らぬ間にポンポンとカードを使用し、
支払が思いのほか多かった経験は誰でもある事でしょう。
これは電子マネーにも言える事です。
0.5~1%のポイントを受け取る為に、それ以上の無駄な買い物を
してしまっては全く意味がありません。
(会費のかかるクレジットカードなら尚更です)
クレジットカードを持たないという選択肢も考えましょう。


このように、安全に見えて気付かないうちに大きなリスクを
背負わされているサービスは世の中にあふれています。
それらを見極め、適切に付き合うには何が必要でしょうか?


それは「疑問を持つ事」だと思います。


物事の本質を捉えるには、「何故?」というキーワードが重要です。

 ・なぜ割り引かれるんだろう?
 ・なぜ利率が高いんだろう?
 ・なぜポイントを還元してくれるんだろう?


このように疑問に思う事が、本質を探る動力源となり得るわけです。


何事も真剣に向き合うことで見えてくるものがあります。
気軽にできるからと安易な気持ちで行動に移す前に、
まずは疑問を持つ事でリスクと上手く付き合ってみて下さい。

そうすれば自分に合った適切なリスクのとり方が自然と分かってくると思います。

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東証上場銘柄の市場区分・時価総額別上場廃止率

→「過去10年間の東証上場企業における上場廃止理由内訳と廃止率
→「ネガティブな理由で上場廃止した東証上場銘柄における市場区分別傾向分析

の続きとなります。


昨日対象として挙げた、ネガティブ理由に該当する上場廃止111銘柄のうち、
上場廃止1年前の属する月の最終株価と発行済み株式総数について
調べることが出来た89銘柄を元に、時価総額別上場廃止率を算出してみました。

まずは、時価総額を一定のカテゴリーに分け、
そのカテゴリーの全体に占める割合と、
平均時価総額を表にしてみました。


【時価総額別銘柄数,割合,平均時価総額】
時価総額別銘柄数,割合,平均時価総額


結果、50億円未満の時価総額銘柄で約半数を占める事がわかりました。
また、上場廃止1年前にもかかわらず、1000億円以上の銘柄でも7銘柄が
該当する事が分かりました。(例:JAL、西武鉄道、ライブドア等)



次に、2012年2月23日現在の東証市場に上場する銘柄に関してスクリーニングを行い、
各上場区分・時価総額帯毎の銘柄数を計算し、各時価総額帯の廃止率を
計算した結果が以下の表となります。



【時価総額別上場廃止率】
時価総額別上場廃止率

10億円未満の上場廃止率が非常に高い結果となりました。

10億円未満のネガティブな上場廃止理由を挙げると、

 ・時価総額理由(上場維持最低基準を下回っている)
 ・民事再生、破産、事業の停止(業績不振)
 ・虚偽記載や公益投資者保護(コンプライアンス上の問題)


等が該当していました。

上場廃止リスクが相当程度時価総額に反映された結果、
と言えるかもしれません。

これは、全体の傾向からも見て取れます。
(時価総額が上がるほど、上場廃止率が下がっている)



更に、銘柄数が少なく参考程度ですが、
市場区分別の時価総額別上場廃止率も計算してみました。


【市場区分別・時価総額別上場廃止率】
時価総額別上場廃止

マザーズや東証2部は対象銘柄が少ない事もあり、
時価総額順に廃止リスクがあるとは言えないようです。

逆に、東証1部は全体と同様の傾向がみられました。


今日の検証はここまでとなります。

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ネガティブな理由で上場廃止した東証上場銘柄における市場区分別傾向分析

→「過去10年間の東証上場企業における上場廃止理由内訳と廃止率」の続きです。


昨日データとして収集したネガティブインパクトの上場廃止銘柄数134銘柄のうち、
外国部(東1・マザーズ)を除いた111銘柄を対象にして、
以下の調査並びにスクリーニングを行いました。

 ・市場区分別上場廃止数
 ・上場廃止した月
 ・証券コード別
 ・上場廃止1年前の月末株価
 ・市場区分別上場廃止理由


その結果が以下の通りです。


【市場区分別・上場廃止銘柄数と1年あたりの上場廃止率】
市場区分別・上場廃止銘柄数と1年あたりの上場廃止率
※円グラフの数字は銘柄総数


市場区分別・上場廃止銘柄数と1年あたりの上場廃止率

市場区分別で分けた場合、
1年あたりの上場廃止率が高かったのはマザーズ市場で1.6%でした。
こういった統計となった理由として、

 ・開業して間もない会社が多く上場する新興市場の特性
 ・上場している銘柄の絶対数が少ない
 ・優良銘柄が東証一部等に鞍替え上場している


等が挙げられるかと思います。


次に、上場廃止した月の傾向を見てみましょう。


【月別・上場廃止銘柄数】
月別・上場廃止銘柄数

各月でそこまで差があるわけではありませんが、
3,4,6,10月は、他の月に比べてやや多い印象です。

あくまでも「上場廃止した日の属する月」ですから、
実際の上場廃止決定日(整理銘柄に該当した日)は、
更に1か月以上前という事になります。



【証券コード別上場廃止銘柄数】
証券コード別上場廃止銘柄数

証券コード番台別に上場している銘柄数が異なるので一概に比較はできませんが、
廃止銘柄は1000番台と8000番台に集中しているようです。
逆に、5000番台はかなり少ない数字となっています。

1000番台と言えば建設が中心です。
8000番台は不動産・証券・銀行等が多いですね。
卸売や小売も8000番台が中心です。

5000番台は鉄鋼・ガラス・金属あたりでしょうか。

2000年代と言えば、不動産流動化関連銘柄が多く潰れた時期でもあります。
建設業は比較的前半に集中していました。



【上場廃止1年前の月末株価別・上場廃止銘柄数】
上場廃止1年前の月末株価別・上場廃止銘柄数
※数字は銘柄総数

売買単位が1株から1000株までバラバラですから一概に比較はできませんが、
上場廃止1年前の株価水準は上記図のようになりました。
10万円以上という銘柄も8銘柄あり、なかでも東証2部上場だった
アイ・エックス・アイは76.5万円もしていました。
当該会社は架空取引を理由に民事再生手続きとなっています。



【市場区分別上場廃止理由】

上位3つずつ挙げていきます。

<東証1部>
第一位 民事再生手続き 25件
第二位 会社更生手続き 16件
第三位 破産の申立て 8件

※「再生手続き」は「民事再生手続き」に合算
※「更生手続きの申し立て」は「会社更生手続き」に合算


<東証2部>
第一位 民事再生手続き 15件
第二位 破産の申立て 5件
第三位 公益・投資者保護 4件

※公益・投資者保護は破産手続き開始の決定、虚偽記載との重複分除く


<東証マザーズ>
第一位 虚偽記載 5件
第二位 時価総額 4件
第三位 破産手続き 3件



マザーズは時価総額が上場廃止基準に引っかかっているケースが4件もありました。
また、虚偽記載がトップに出るなど、民事再生や会社更生、破産手続きよりも
企業のコンプライアンスで上場廃止となるケースが多かったようです。



今日の分析はここまでとなります。


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過去10年間の東証上場企業における上場廃止理由内訳と廃止率

東京証券取引所における過去10年間の上場廃止銘柄について、
その廃止理由の統計分析を行ってみました。

【参考元】「東京証券取引所・上場廃止銘柄一覧」
URL:http://www.tse.or.jp/listing/haishi/list.html


まずは東証の上場企業数の変遷からです。

東京証券取引所 現在の上場会社数(過去分)
【参考】「東京証券取引所 現在の上場会社数(過去分)」
URL:http://www.tse.or.jp/listing/companies/b7gje6000000pj9r-att/b7gje6000000pjqx.pdf


東証では2002年から2011年までの10年間に上場銘柄総数が
2,153銘柄から2,290銘柄に137銘柄増加しています。

ただし、2006年のピーク時が2,416銘柄だったことを考えると、
随分と減少傾向にある事が分かります。

この間、上場廃止銘柄数は何銘柄あったのでしょうか?


結果は643銘柄でした。

※外国部24銘柄(東証一部23銘柄、東証マザーズ1銘柄)含む


10年間の増加数が137銘柄ですから、
780銘柄の新規上場と、643銘柄の上場廃止が起きていた事になり、
総銘柄数の期間平均値2,315銘柄を基準にすると、
上場株式の1年辺りの平均上場廃止率は2.8%となります。


では、実際にどのような廃止理由があったのでしょうか?
以下のグラフにまとめてみました。


【東証上場廃止銘柄・理由別累計数グラフ】
東証上場廃止銘柄・理由別累計数グラフ


ちなみに、上場廃止理由上位10位までは以下の通りです。


<上場廃止理由上位10位>

1位 完全子会社化 372件
2位 株式の全部取得 64件
3位 合併 58件
4位 民事再生手続き 40件
5位 申請による廃止 23件
6位 会社更生手続き 18件
7位 破産の申立て 12件
7位 少数特定者持ち株比率80%&90%(完全子会社化除く) 12件
9位 時価総額 7件
9位 虚偽記載 7件


※「再生手続き」は「民事再生手続き」に合算
※「更生手続きの申し立て」は「会社更生手続き」に合算


その他、公益・投資者保護(6件)、監査意見不表明(5件)、
債務超過(4件)等がありました。


1位から3位までは投資者にとって比較的利益となる可能性のある廃止理由です。
ただし、株価が割安に放置されている状態でTOBやMBOが行われたのであれば
その限りではありませんから、その点は注意が必要です。

また、単にHD化した場合も含まれていますから、
その辺りも曖昧な点があります。


ただし、会社更生法の申請や債務超過等、
明らかにネガティブインパクトとなる廃止理由だけはカテゴリー分け出来ますから、
そちらの総数を計算してみました。

結果、134銘柄が該当する事となります。

1年辺り13.4銘柄であり、期間平均で約0.6%となります。
ここから更に上場前の平均時価総額等を調べて行きたい所ですが、
今日の所はここまでです。


【追記】
上記計算でネガティブインパクトに入れていた「申請による廃止」が、
東証外国部の特殊事情(流動性の問題で上場廃止)による所が大きいと考え、
全体から外国部の影響を除いた上で再計算しました。

その結果、対象銘柄は134銘柄から111銘柄に下がり、
総銘柄数の期間平均値が2,292銘柄となる為、
上場廃止率は約0.5%となります。

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プロフィール

楽天家業

Author:楽天家業

 大学在学中から事業でお金を貯め、それを元手に卒業後は個人トレーダーとして生計を立てていました。(現在はトレード業務一部復活)

 2008年のリーマンショック時に信用取引による過剰リスク状態で惨敗。そんな手痛い経験もあり、このままの人生で良いのかと自分を見つめ直し、同年からウェブサイトの作成業務、2009年からは独立系FPとして相談業務を行うため、自分の経験を活かして日夜、ファイナンシャルプランナーの分野で活動を行っています。

<略年表>
2009年9月AFP登録
2011年7月CFP登録

 現在、主にFP法人様や執筆関連でお仕事承っております。

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 上場と言う華々しさに至るまでの苦難の道のりを是非ご覧いただきたいと思います。

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