未払い給与に対して利息が請求できるか?

「今月は経営が苦しいから少し給与の支払いを待ってくれ」

そう社長に言われたら、流石にもうこの会社も危ないかな?と思いつつ、
最終的には支払われない覚悟をするかもしれません。
こういった経営状態で更に利息の請求と言うのも酷な話です。


しかし、たまたま多額の売掛金回収が遅延していて資金繰りが苦しく、
あくまでも一時的なタイミングでの未払いであったり、
経理がずさんで単純に支払が遅延しているだけだったりしたらどうでしょう?

貴方が本来受け取るはずだった給与と言う経済的利益が受け取れずにいるわけですから、
実質的には事業者に自らの給与を貸し出しているような状態とも言えるわけです。


ですから、その未払い給与に対して利息のようなものが請求できないものか考えた所、
ツイッターでフォロワーさんから遅延損害金と言う形で請求が可能との事でしたので、
各種根拠法や判例等を調べてみました。



請求できる遅延損害金の利率は、通常の未払い給与が6%
退職した者に関しては14.6%と決められているようです。


【参考1】「新井工務店事件(1976年7月9日)商法503条、514条」
URL:http://www.zenkiren.com/jinji/hannrei/shoshi/01154.html

【参考2】「商法」(商事法定利率)
 第五百十四条 商行為によって生じた債務に関しては、法定利率は、年六分とする。
URL:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M32/M32HO048.html

【参考3】「賃金の支払の確保等に関する法律」(退職労働者の賃金に係る遅延利息)
 第六条  事業主は(中略)年十四・六パーセントを超えない範囲内で(中略)遅延利息として支払
URL:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S51/S51HO034.html


また、未払いの状況が労働基準法の各種定義に抵触するほどの状況であった場合、
裁判所を通じて付加金の支払が命じられる場合もあるようです。

ちなみに付加金は未払い給与と同額と決められています。


【労働基準法】(付加金の支払)
 第百十四条  裁判所は、第二十条、第二十六条若しくは第三十七条の規定に違反した使用者又は第三十九条第七項の規定による賃金を支払わなかつた使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる
 ただし、この請求は、違反のあつた時から二年以内にしなければならない。



さて、これら遅延損害金や付加金について税法上ではどのような取り扱いになっているのでしょうか?

感覚的には"損害賠償金"は非課税と認識してしまいそうですが、
あくまでも未払い給与という本来受け取るべき経済的利益に対して付される範囲の金銭と認定され、
通常は遅延損害金が雑所得付加金が一時所得として課税対象となるようです。


【参考】「平22.4.22、裁決事例集No.79(国税不服審判所)」
URL:http://www.kfs.go.jp/service/JP/79/11/index.html

【参考】「法第34条《一時所得》労基法第114条の規定により支払を受ける付加金(国税庁)」
URL:http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shotoku/04/08.htm


あまり個人で訴訟まで発展させるケースは少ないかもしれませんが、
知って置いてほしい知識として記事にさせて頂きました。


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中古物件の不動産売買には消費税がかからない?

不動産は一生に一度の買い物、という方も多い事でしょう。
その為、不動産にかかる消費税の取り扱いについて知らない方も多いと思います。

消費税が上がるから今が買い時!なんて言われていても、
消費税そのものが掛からない不動産取引がある事はご存知無いかもしれません。


そもそも消費税とは、原則として国内に置いて

「事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡や貸付及び役務の提供」

に対して課税されるものですから、
"事業者"ではない個人間の売買であれば原則として消費税は非課税とされる事になっています。


例えば今まで自宅として使用していたマンションの一室を、
仲介を挟まずに親類に対して直接取引した場合はどうでしょう?

もちろんこれは非課税となります。


では、仲介会社を通して第三者に売却した場合はどうでしょう?
この場合も土地・建物の売却代金は非課税となります。

ただし、仲介会社に支払う仲介手数料等は課税取引ですから
そちらには課税される事になります。


また、土地の売買そのものは個人間・事業者間問わず非課税となっています。


この為、事業者が土地・建物を個人に売却する場合、
土地の売買代金にあたる金額は非課税となりますが、
建物の代金は課税対象となっています。




例)土地2,000万円 建物1,000万円の不動産を売買するケース(消費税率は現行水準で)

売主:A事業者
買主:個人
仲介:B事業者


■土地 非課税

■建物 1,000万円×5%=50万円

■仲介手数料 (3,000万円×3%+6万円)×5%=4.8万円

支払消費税総計 54.8万円

※総額表示により、広告掲載時の物件価格は「3,050万円(税込)」と表記される





つまり、消費税が上がると不動産価格に直接的に影響するケースは、
事業者が個人に対して販売する不動産についてのみ、という事が言えるかと思います。
(もちろん仲介の場合も手数料に掛かる消費税が上がりますが、全体にすれば微々たるものです)


この為、中古物件を購入する範囲に置いては、
売主が個人である限り、消費税の影響をあまり受けない事になります。



【参考1】国税庁タックスアンサー

「No.6117 課税の対象となる取引」
URL:http://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6117.htm

「No.3240 事業用建物等を譲渡した場合の消費税」
URL:http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3240.htm

「No.6201 非課税となる取引」
URL:http://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6201.htm


【参考2】税務大学校 税大講本 消費税法

「第2章 課税の対象 第1節 概説 1 消費税の課税の対象は何か」
URL:http://www.nta.go.jp/ntc/kouhon/syouhi/pdf/04.pdf#page=1(PDF)

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突然の海外転勤 単身赴任でも住宅ローン控除は受けられるのか?

消費税の増税を前にして思い切って買ったマイホーム。
妻と子供もとても喜んでおり、これからもがんばるぞ!と思った矢先、
突然会社の都合で3年間の海外転勤を命じられたら、
住宅ローン控除は継続して受けられるのでしょうか?


国税庁のタックスアンサーを見ると、
上記のケースの場合は以下のようになるようです。(飛ばしても支障ありません)


「転勤等により居住の用に供することができない場合で、
 住宅借入金等特別控除等の適用を受けることができるとき」


(1) 単身赴任等の場合
 家屋の所有者が、転勤、転地療養その他のやむを得ない事情により、配偶者、扶養親族その他生計を一にする親族と日常の起居を共にしない場合において、その住宅の取得等の日から6か月以内にその家屋にこれらの親族が入居し、その後も引き続き居住しており、当該やむを得ない事情が解消した後はその家屋の所有者が共にその家屋に居住することと認められるときは、その家屋の所有者が入居し、その後もその家屋の所有者が引き続き居住しているものとして取り扱われ、この特別控除等の適用を受けることができます。
 ただし、住宅借入金等特別控除等の規定では、「居住者」が住宅の取得等をし、居住の用に供した場合に限り、この特別控除等の適用を受けることができるとされています。したがって、住宅借入金等特別控除等の適用を受ける者が海外に単身赴任等をし、その年の12月31日において非居住者である場合には、その非居住者である年分についてこの特別控除等の適用はありません。(抜粋)

【参考】「No1234 転勤と住宅借入金等特別控除等」
URL:http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1234.htm



つまり、国内の転勤であれば奥さんや子供が継続して住んでいれば控除を受けられるのですが、
海外赴任中の夫は国内に住んでいない「非居住者」となってしまう為、
その年の分は残念ながら控除が受けられないという事になります。

ただし、上記のケースでは3年後に単身赴任先から帰国した年から再適用を受ける事が出来ます。
この場合は控除期間が延長される事はなく、残存期間に対してのみ適用される事になります。


【適用期間例】

1年目 居住者 控除可
2年目 非居住者 控除不可 ※6月1日に海外出張
3年目 非居住者 控除不可 ※単身赴任中
4年目 非居住者 控除不可 ※単身赴任中
5年目 居住者 控除可 ※5月31日に帰国
6年目以降 居住者 控除可

※居住・非居住者の判定は各年の12月31日時点の状態で行う


最終的な控除期間は1年目と5年目以降の7年間となります。


仮に海外転勤の可能性がある職種の方で住宅ローン控除を受ける予定ならば、
とても大事な事なので購入前に十分に考慮する必要があります。

買ってから、「こんなはずじゃなかった!」とならないように気を付けましょう。


【参考】税務署に聞く前に読む税務Q&A―納税者から問い合わせの多い事例集 ※Amazon
(一般財団法人 大蔵財務協会)

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ネット証券戦国時代再燃か?SBI証券が信用取引金利引き下げへ

SBI証券のプレスリリースに以下のような発表がありました。


「信用取引金利 キャッシュバックキャンペーン」実施および信用金利引下げのお知らせ
~8月1日からキャンペーン、11月1日から信用金利引下げを実施~

 2012年8月1日(水)(予定)より、前月の信用取引の新規建約定代金合計額または前月最終営業日の信用建玉残高が5億円以上のお客様を対象に当月の信用取引金利(買方)の一部をキャッシュバックするキャンペーンを実施いたします。
 また2012年11月1日(木)(予定)からは本キャンペーンと同じ条件を満たすお客様の信用取引金利(買方)を同水準まで恒久的に引下げることといたしましたのでお知らせいたします。


信用取引の月間約定代金、または建玉残高が5億円以上を対象とした
支払金利の一部キャッシュバックサービスとなっています。

新規建約定代金に条件は付されていないので
恐らく売り買い双方(制度・一般の総計)の合計だと思われます。


5億円の建玉保有という条件に当てはまる人はそう多くありませんが、
約定代金の総計であれば対象者はグッと広がる事でしょう。


ちなみに月間約定代金5億円を達成する最低限の信用余力は、
一カ月の営業日数を21営業日とするなら約2381万円です。

この2381万円の信用枠を毎日上限まで日計り利用した場合、
キャッシュバックの対象金額は一カ月約1万円となります。

【計算】

 5億円÷21営業日≒2381万円

 2381万円×0.52%÷12か月≒1万円


※キャッシュバックの受取金は雑所得の為、所得状況により申告義務があります。


戻りの金額としては少ないなと感じるかもしれませんが、
デイトレーダーや大口の取引参加者にはかなりメリットがある変更です。
(5億円の残高がある人にとっては一月約22万円のキャッシュバック)


11月からはキャッシュバックではなく、この制度を恒久化させるとも書かれています。
既に7月18日にカブコムが発表している金利引き下げプラン(※)への対抗措置として
行われたものと思われますが、今後は金利面でネット証券の闘争が再燃したと言えるでしょう。


「信用金利を業界最低水準の2.28%~に大幅引下げ・手数料1ヶ月無料プランを新設(カブコム)」
URL:http://kabu.com/company/pressrelease/2012/20120718_2.asp



また、これらの措置は先日お知らせした金融商品取引法の改正をにらんでのものと思われます。


【参考】「信用取引残弾数無限大?金融商品取引法の改正案について」
URL:http://fpdiary.blog23.fc2.com/blog-entry-304.html


金利を引き下げたとしても、信用取引余力が同日中に回復する事で取引数量が増加すれば
最終的な収益面ではプラスに働く、という考えとも言えるかもしれません。

各社は大口取引者を逃さない為にも、金利・手数料・システム面で様々な工夫を行っていますが、
肝心の市場はお寒い状況であるのはどうにもならない所ではあります(苦笑)

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信用取引残弾数無限大?金融商品取引法の改正案について

株式の信用取引制度が大幅に変わるかもしれません。

信用取引とは、例えば100万円の自己資金があった場合、それを証券会社に保証金(担保)
として差し入れる事で約3倍の資金を貸し出してくれる制度なのですが、
通常、その貸出枠を全て使用した場合は例え買った株をその日に売却したとしても
同日中に置いては新たな貸し出しがされない事になっています。(通常、翌日に回復)



例)100万円の保証金で300万円の信用枠が与えられたとき

【売買】
7月17日 買いA株 100万円
7月17日 買いB株 200万円
7月17日 売りA株 105万円(同日中に売却)

【貸出枠】
7月17日 ゼロ(全て使い切っている為)
 ↓
(翌日)
 ↓
7月18日 115万円(A株売却分だけ回復(利益は保証金に))

※証券会社によって異なる

【参考】「取引ルール(信用決済に係る益金について参照)」(松井証券)
URL:http://www.matsui.co.jp/service/margin/rule.html


となるのですが、金融庁側の改正方針の内容を見てみると、
以下のように改正する案が出ています。


例)100万円の保証金で300万円の信用枠が与えられたとき

【売買】
7月17日 買いA株 100万円
7月17日 買いB株 200万円
7月17日 売りA株 105万円(同日中に売却)

【貸出枠】
7月17日 ゼロ(全て使い切っている為)
 ↓
(A株売却後)
 ↓
7月17日 115万円(A株売却分だけ回復(利益は保証金に))


となるようです。

つまり、日計り取引(同日中の決済)が、保証金がある限り永遠と出来てしまうわけです。


もちろん取引手数料や信用取引で借りるお金の金利負担はありますので、
取引すればするほどそれらの費用もかさむのですが、
取引したいけど枠が無いから取引できないというケースがこれで少なくなるわけです。

正し、その分損失を被るリスクも高まりますのでご注意を。



(以下金融庁のパブリックコメント募集文章から抜粋)

○信用取引に係る保証金の算定基準時の合理化を図るため、 以下のとおり見直しを行うこととする。

(1)信用取引に係る保証金の引出し等
 信用取引について反対売買を行った場合には、その約定時点において、顧客が証券会社に預託している当該信用取引に係る保証金(当該反対売買による損失等を除く。)を引き出し、又は新たに行う信用取引に係る保証金として利用すること等を可能とすることとする。

(2)反対売買による利益の取扱い
 信用取引について反対売買による利益が生じた場合には、その約定時点において、当該利益を、信用取引に係る保証金の額に加算し、新たに行う信用取引に係る保証金として利用することを可能とすることとする。

【参考】「金融商品取引法第百六十一条の二に規定する取引及びその保証金に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」の公表について(金融庁)
URL:http://www.fsa.go.jp/news/24/syouken/20120710-1.html

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プロフィール

楽天家業

Author:楽天家業

 大学在学中から事業でお金を貯め、それを元手に卒業後は個人トレーダーとして生計を立てていました。(現在はトレード業務一部復活)

 2008年のリーマンショック時に信用取引による過剰リスク状態で惨敗。そんな手痛い経験もあり、このままの人生で良いのかと自分を見つめ直し、同年からウェブサイトの作成業務、2009年からは独立系FPとして相談業務を行うため、自分の経験を活かして日夜、ファイナンシャルプランナーの分野で活動を行っています。

<略年表>
2009年9月AFP登録
2011年7月CFP登録

 現在、主にFP法人様や執筆関連でお仕事承っております。

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 上場と言う華々しさに至るまでの苦難の道のりを是非ご覧いただきたいと思います。

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