岡山県総社市の医療費抑制施策 健康なら1万円給付制度について

今朝の日経新聞電子版を見ていたら、岡山県総社市の市長さんに対する
インタビューとして、健康保険に関する面白い施策が書かれていた為、
少しこの制度について考えてみようと思います。


【参考】
「健康な市民に現金、医療費抑制に一役」 片岡聡一・岡山県総社市長
(日経新聞電子版 2014/8/28)


内容を見ると、この市では1年間医療機関の保険診療履歴が無く、
特定健診を受診している国保加入世帯について、
1万円がキャッシュバックされる仕組みを昨年導入したとの事。

もう少し詳しく内容を見る為に当該市のHPを確認すると、
該当するページがありました。

【参考】健康で1万円キャッシュバック(岡山県総社市保険年金係)


受取れる要件は以下のように記載されています。

1.平成25年4月1日から平成26年3月31日までの期間で、
  被保険者が保険診療を受けなかった世帯
2.(1)の期間で、40歳以上の被保険者(特定健康診査の対象者)がいるときは、
  対象者全員が特定健康診査を受けた世帯
3.国民健康保険税を完納している世帯



となりますから、世帯全員が40歳未満の場合は特定健康診査(※)非対象者であれば
健診を受けずに給付金を受領可能とも言えます。

国保特定健康診査(メタボ健診:PDF


もちろんHPにあるように、
1年以上保険診療を受けていない世帯の特定健康診査の受診率が約8%
という低さを、ある程度のインセンティブで向上させる意味合いもある為、
単なる給付金とは異なる背景があります。


そもそも国民健康保険加入者の多くは自営業者です。
自営業者はサラリーマンなどの被用者と異なり、
ほぼ強制的に定期で行われる健康診断が無い事が多く、
健康管理の問題点を喚起する為にこの制度を導入した意義は大きいと思います。

また、1万円という金額も世帯単位での給付であり、
仮に夫婦がそれぞれ40歳以上の世帯とすれば、特定健康診査の健診費用1,400円(※)
が2人分かかる事で、差し引き7,200円程度の手取りでしかありませんから、
これが直ちに医療機関の受信拒否につながるリスクも低いと言えます。

検診・健診の一覧(国保特定健康診査(総社市):PDF


加えて、健康診断の受診履歴の低さは厚生労働省の国民生活基礎調査(以下表)を見ると、
20代から40代で多い回答が、「時間が取れない」という理由以外に、
「めんどうだから」「費用が掛かるから」という回答も多く、
費用の実質負担と足代のプラスが加算された1万円の給付がインセンティブとして
有効に働く可能性は十分に存在する事になります。


【参考】平成25年 国民生活基礎調査の概況
Ⅲ世帯員の健康状況 9.健診(健康診断や健康診査)や人間ドックの受診状況


健診を定期で受けていれば重篤な病気を見逃すリスクも全体では下がり、
結果的に医療費が抑制されると考えるのは病気の予防として正しく、
この施策は財源確保に苦しむ各公的医療保険の運営に少なからず
影響を与えることになると思います。

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公的医療保険の高額療養費自己負担限度額の見直しについて

最近では認知度がそれなりに上がってきた公的医療保険の高額療養費制度ですが、
その負担限度額が改正されている事をご存知でしょうか?

ここでは高額療養費制度自体の簡単な解説と、平成27年1月に施行される
健康保険法施行令の改正内容について触れておこうと思います。


<<高額療養費とは>>

高額療養費制度とは、同一月中(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が
高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が払い戻される制度の事で、
標準的な所得の家庭であれば、70歳未満で医療費が3割負担の人なら80,100円(※)を
超えてくる場合、その対象範囲となります。

※年齢、所得水準、実際に掛かった医療費等により基準は異なる


ただし、1か月以内の全ての医療費が対象となるわけではなく、
医療機関ごとに区分したり、同一医療機関でも通院と入院で分けなければならなず、
70歳未満の場合はその分別した医療機関区分ごとの自己負担額(窓口支払い分)が
21,000円を超えていなければ合算できない等、それなりに注意点もあるのがこの制度の特徴です。

※同月中に同一保険加入者(例えば協会けんぽ加入被保険者(親)と
 その被扶養者(子供)等)の医療費は合算可能(世帯合算)
※処方箋を院外の薬局に持ち込み、薬代を支払った場合は処方箋を交付した
 医療機関の医療費として合算可能



言葉だけだと分かりずらいので例を示しておきます。


例)被保険者A、被扶養者B(70歳未満かつ標準所得世帯)

8月1日から8月31日までに掛かった医療機関と医療費

※金額は自己負担額(3割負担)


■被保険者A
<A病院>
・入院費(差額ベット代や食事代等、対象外費用を除く) 15万円
・通院費 2万円(21,000円未満の為、合算不可)

<B病院>
・通院費 3万円(合算可)

■被扶養者B
<C診療所>
・通院 3万円(合算可)

総額:15万+3万+3万=21万円


この21万円が計算の対象とされます。
ちなみに、実際に払い戻される額は以下の計算式に因ります。

【標準所得世帯(一般)の場合】80,100+(総医療費-267,000)×1%


総医療費は自分で支払った3割負担分と、各公的保険(協会けんぽ等)から支払われた
7割分を足した計10割分の医療費の事であり、上記のケースを当てはめると、

21万円(3割負担分)
49万円(健保等7割負担分)
--------
70万円(総医療費)


となり、高額療養費制度の自己負担限度額は、

80,100円+(700,000-267,000)×1%=84,430円

であり、払い戻される金額は、

210,000-84,430円=125,570円

と計算される事になります。


ちなみに今回の改正では、この計算式の所得基準と限度額の見直しが行われます。
今度はその点について詳しく見ていきましょう。



<<自己負担限度額の見直しに関する改正点について>>

本改正で対象となるのは70歳未満の加入者です。
つまり、主に現役所得者が影響を受ける中心層となります。

具体的な区分細分化は以下の資料を見てみましょう。


※健康保険(組合健保・協会けんぽ)と国民健康保険で基準が異なります


協会けんぽ(千葉)(PDF)の資料から抜粋



国保(島根県出雲市)(PDF)の資料から抜粋


左が変更前の基準、右が変更後の基準です。



健保は標準報酬月額、国保は旧ただし書き所得がボーダーラインのベースとなります。

標準報酬月額に用いられる報酬とは、会社から支払われる基本給に
各種手当(通勤手当・残業手当等)を加えたもので、
臨時に支払われるものや賞与等を除いたものを言います。
(概ね、4-6月に支給される給与等を平均した額で決定)

その報酬が標準報酬月額表(※)と照らし合わせて幾らになるかで
基準額が決定されますが、改正後の標準報酬月額の枠組みで言うと、
実際のボーダーは以下の通りになります。


※【参考】標準報酬月額表



【改正後の高額療養費所得基準として用いられる標準報酬月額と標準報酬額のボーダー】

「旧・上位所得者A」83万円以上(81万円以上)

「旧・上位所得者B」53万~79万円(51.5万以上~81万円未満)

「旧・一般所得者A」28万~50万円(27万以上~51.5万円未満)

「旧・一般所得者B」26万円以下(27万円未満)


※A,Bは便宜的に付記


と読み替える事が出来ます。

この中で改正後と制度を比べて負担限度額が全く変わらないのは、
住民税非課税世帯を除けば「旧・一般所得者A」のみとなります。

旧・一般所得者B」は負担限度額が引き下がり、
上位所得者はA,Bともに引き上げとなっている事が上記表を見ても
お分かり頂けるかと思います。


例えば「旧・上位所得者A」の人が医療費100万円(3割負担で支払額30万円)の
治療費が掛かった場合で現在と改正後を比べると、


■改正前 150,000+(1,000,000-500,000)×1%=155,000円

■改正後 252,600+(1,000,000-842,000)×1%=254,180円

負担差額:254,180円-155,000円=99,180円


となり、約10万円も自己負担限度額が引き上がる事になります。


国保の場合は「旧ただし書き所得」での計算となります。

旧ただし書き所得の計算は、例えば給与所得の場合なら給与所得控除を差し引き、
事業所得の場合は青色専従者給与額等を差し引いた残りから33万円(基礎控除)を
引いた数字が該当します。(※社会保険料等の控除は出来ない)

これは国民健康保険料の算定基礎となる所得と同じものです。
事業所得者の場合、旧ただし書き所得で600万円のボーダーにいる人は
少し気を付けた方が良いと言えるでしょう。

自己負担額の差を改正前と後で計算すると、


・旧ただし書き所得601万円(医療費は上記と同様100万円とする)

■改正前 150,000+(1,000,000-500,000)×1%=155,000円

■改正後 167,400+(1,000,000-558,000)×1%=171,820円

負担差額:171,820円-155,000円=16,820円


となり、多少負担が増加する事になります。



今回の改正は来年の1月から施行ですから、
本年中に"限度額適用認定証"等を発行して貰うよう役所に尋ねた場合、
改正前と後で限度額が変更になる点は注意しておきましょう。

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楽天家業

Author:楽天家業

 大学在学中から事業でお金を貯め、それを元手に卒業後は個人トレーダーとして生計を立てていました。(現在はトレード業務一部復活)

 2008年のリーマンショック時に信用取引による過剰リスク状態で惨敗。そんな手痛い経験もあり、このままの人生で良いのかと自分を見つめ直し、同年からウェブサイトの作成業務、2009年からは独立系FPとして相談業務を行うため、自分の経験を活かして日夜、ファイナンシャルプランナーの分野で活動を行っています。

<略年表>
2009年9月AFP登録
2011年7月CFP登録

 現在、主にFP法人様や執筆関連でお仕事承っております。

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