配当所得の確定申告(1)所得330万円以下は確定申告をすれば得?

本日は昨年分の配当所得に関するお話です。
上場株式等の配当金については、既に所得税7%・住民税3%が源泉徴収され、
課税関係は終了しておりますので、基本的には確定申告する必要性はありません。
ですが、給与を含めた総所得の金額によっては総合課税方式で申告をすれば、
配当控除により税金が還付される可能性があります。

有名な金額としては所得が330万円以下なら
確定申告をすれば税金が還付されると言う話を耳にした方もいらっしゃるかと思います。

そこで、現在の所得税の計算表を確認してみましょう。

所得税の計算表

330万円という数字はなんとなくこの表から来ているなというのは気付かれたかと思います。
ちなみに住民税は現在一律10%となっております。

ここで、配当控除の控除率に関しても書いておきましょう。

(1)配当金を含めた、課税総所得金額が1,000万円以下の場合 
   →所得税10%・住民税2.8%が控除
(2)配当金を含めた、課税総所得金額が1,000万円を超える場合、
   →所得税5%・住民税1.4%が控除

となります。
ちなみに、配当金以外の所得が900万、配当金が200万というケースの場合、
1000万以下の部分に対しては(1)の控除率、1000万を超える部分に関しては(2)の控除率が
適用されます。

それでは330万円という金額のケースを考えてみましょう。

例)配偶者・扶養者なし、年間の給与収入600万円、年間の配当所得10万円 
  年間の社会保険料 約70万 その他 控除・所得なし

給与所得控除額 600万円×20%+54万円=174万円
基礎控除 38万円
社会保険料控除70万円

課税される所得の金額 600万円-(174+38+70)+10万円=328万円

先程の表から、330万以下の所得に対しては税率が10%となりますので
配当所得10万円分に関しての所得税の配当控除10%と合わせて、所得税はゼロとなります。

仮に配当所得が15万円だった場合、課税される所得の金額が330万円を超えてしまいますので
配当所得に対して掛かる所得税率が20%となり、差し引き10%の税金を納めなければいけなくなります。

また、住民税の配当控除分は2.8%ですから、総合課税方式にした場合、
所得税の各課税所得帯の実質負担率は、以下のような状況になります。


所得別配当所得の実質負担率

【配当所得の実質負担率推移グラフ(所得税)】
配当所得の実質負担率

配当控除後の配当所得に対する実質負担率

ご覧頂いた通り、330万円以下であれば本来の課税率10%に比べ、2.8%以上の負担軽減となります。


しかし、あまり表には出てきませんが、
これをやると得になるのは、給与と言う形で所得があるサラリーマン全般の話なのです。

そこで、基礎控除内での確定申告の話や、所得のある配偶者の配当控除時の注意点、
事業主の配当控除時の注意点を時間のある時に書いておこうと思います。

※国保の件についての記載がありませんでした。コメント欄をご参照ください。

※2012年3月5日 図表、及び一部本文修正
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国民健康保険料

いつも参考にさせてもらっています。古い記事へのコメントですみません。丁度確定申告時期なので。
配当を確定申告で総合課税しても、国民健康保険加入者は他の収入の所得が全くでない場合を除いて、保険料増額になるので、トータルで損になると理解してました。国保加入者でも申告したほうが得になりますか?

Re: 国民健康保険料


コメントありがとうございます。

ご指摘の通り、国民健康保険加入者の場合は配当所得を総合課税で選択した場合、
控除範囲の非課税所得者でなければ損をする可能性があります。
(注:「収入」ではなく、「所得」という点で注意が必要です)

国民健康保険料はお住まいの自治体ごとに算定方法が異なり、
昨年から東京都特別区でも導入された旧ただし書き方式か、住民税方式かで
分かれておりますが、その辺りの計算過程を以下の資料からご確認ください。


【参考】「国民健康保険料に係る賦課方式の移行について(中野区)」の3表をご覧ください
URL:http://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/217500/d012120_d/fil/2301shiryo_2.pdf


例えば旧ただし書き方式で行う所得割分の算定方法では、
アルバイト等で給与収入が60万円、配当所得が5万円(課税前)あった場合、
給与所得控除(表で言う必要経費)が65万円までありますから、給与所得控除後の金額はゼロとなり、
国民健康保険料の算定基礎となる所得の金額に含まれず、また、配当所得5万円は
イメージ図にある”所得”から”旧ただし書き所得”を算定する段階で引かれる
基礎控除(33万円)の範囲内ですから、所得割での加算額は無い事がわかります。

住民税方式も同様、所得から所得控除として基礎控除(33万円)は最低限差し引く事が出来ますから
こちらも図にある”課税標準”額はゼロとなり、保険料に影響しない事がわかります。


ただし、仮に給与収入が130万円、配当金が5万円だった場合、
給与所得控除後の金額が65万円、配当金が5万円と、基礎控除の33万円を差し引いても
算定基礎となる所得の金額が37万円残ってしまう事になりますから、
これは国民健康保険料に影響してくる事になります。


つまり、非課税所得者かそうでないかで判断が分かれる事になります。

更に、前年度から損失の繰越控除がある場合は、
その額を差し引いた後の金額が基礎控除(又は所得控除)範囲内で収まるのであれば
国民健康保険料が増加する事はありません。


しかし、損失の繰越控除を適用するケースの場合、
国民健康保険料の増加よりも、扶養控除や配偶者控除(配偶者特別控除)、
70歳以上の収入基準による医療費の窓口負担を判定する収入として
加算される場合がありますので、そちらを気にする必要があります。


いずれにしましても、ご自身の申告に関してご不安な面が御座いましたら
最寄りの税務署相談窓口にてお聞きになるか、税理士にご相談下さい。

Re:国民健康保険

仕組み、なんとか理解しました。
ありがとうございます。

所得195万以下の場合

度々ですみません。再度の確認です。記事を何度も読んでいて、もう一点、気づいたので。
控除後税額の表で、所得が195万以下の場合ですが、配当所得と同額以上の他の課税所得があれば、配当控除は丸々10%引けて控除後税率はマイナス5%になりますよね。住民税部分も計算にいれても税率2.2%になるっていうことでいいでしょうか?
株関係は考えれば考えるほど訳が分からなくなるものですね。

Re: 所得195万以下の場合

大変申し訳ございません。

ご指摘の通り、所得税の課税所得において、
配当所得と同額以上の他の課税所得がある場合、
配当控除により、トータルでの所得税負担額が5%分下がる事で、
実質的な配当所得の税負担率は2.2%(7.8%の還付)となります。

その点、図を作成する時に考慮に入れていなかったか、
或いは気づかなかった物と思われます。

この度はmit様に無用な混乱を与えてしまった事、お詫び申し上げます。

不明瞭な図を新しいものに差し替えさせて頂きました。
また、文中の記事も修正させて頂きました。

ご指摘感謝いたします。

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楽天家業

Author:楽天家業

 大学在学中から事業でお金を貯め、それを元手に卒業後は個人トレーダーとして生計を立てていました。(現在はトレード業務一部復活)

 2008年のリーマンショック時に信用取引による過剰リスク状態で惨敗。そんな手痛い経験もあり、このままの人生で良いのかと自分を見つめ直し、同年からウェブサイトの作成業務、2009年からは独立系FPとして相談業務を行うため、自分の経験を活かして日夜、ファイナンシャルプランナーの分野で活動を行っています。

<略年表>
2009年9月AFP登録
2011年7月CFP登録

 現在、主にFP法人様や執筆関連でお仕事承っております。

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 上場と言う華々しさに至るまでの苦難の道のりを是非ご覧いただきたいと思います。

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