金価格高騰に伴うネックレス等、金の装飾品や金地金等を売却した場合の課税関係

最近経済ニュースだけでなく、一般的な主婦向け番組でも取り上げられ始めた金価格の上昇。

店頭での金の査定に何時間も待って買い取りを依頼している人が増加しているという話を
どこかで見聞きされた方もいらっしゃると思います。

そこで、自分のタンスに眠っている金をこの機会に売ってしまおうと考えている人は
少し注意しなければならない事があります。

それは、金の売却によって得られる所得に対して税金がかかるという事です。


通常、金の売却益は譲渡所得に分類されます。
(営利を目的として反復継続して売買している方は事業所得又は雑所得になります)


・分散投資の一環として数年前に購入した金プレート
・昔、親から相続して眠っていた金の延べ棒
・お祝いに貰った18金ネックレス
・金歯や小判、金貨や砂金など



これらは基本的には継続的な営利を目的としているわけではないため、
売却すれば譲渡所得になります。

また、純金積み立てについては、購入が反復継続して行われていても、
売却が一度に行われているか、又は複数年に1回程度で頻繁に行っている状況が
認められなければ譲渡所得の対象となります。(※)

(※)頻繁に売買を繰り返している、或いは売買金額が大きい等、営利目的であると判定されれば
雑所得、または事業所得として課税されることになります。
この辺りは取引状況を勘案した上で税務署側が判断する事となります


では、これら金の売却にはどのように税金がかかってくるのでしょうか?

以下の譲渡所得の金額の計算式を見ながら、
順番に考えてみましょう。

※計算式の詳しい内容は追って説明します。


No.3161 金地金を売ったときの税金(国税庁HP)
http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3161.htm

(1) 所有期間 5年超の場合
所有期間5年超の場合の譲渡所得の金額の計算式



(2) 所有期間 5年以内の場合
所有期間5年以内の場合の譲渡所得の金額の計算式



(注)譲渡所得の特別控除の額は、その年の金地金の譲渡益とそれ以外の総合課税の譲渡益の合計額に対して50万円です。
これらの譲渡益が50万円以下のときはその金額までしか控除できません。また、(1)と(2)の両方の譲渡益がある場合には、
特別控除額は両方合せて50万円が限度で、(2)の譲渡益から先に控除します。


所有期間の判定は購入日から譲渡日までの期間で判定されます。


<生活用動産は課税対象外>

譲渡所得の金額の計算をする前に、所得税法にはもう一つ大事な取り決めがあります。
それは、「所得税の課税されない譲渡所得」として、「生活用動産の譲渡による所得」がある事です。


No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法 
 4 所得税の課税されない譲渡所得(国税庁)
http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3105.htm



生活用動産とは通常、家具や通勤用の自動車、衣服等を指しますが、
生活上必要な貴金属や骨董品でも、譲渡価額が30万円以下の物については
譲渡所得は課税されない事となっています。


つまり、生活上必要と判断されるネックレスや金歯等を売却した場合では、
その価額が30万円以下であれば譲渡所得の計算から除かれるわけです。

通常、ネックレスは元々購入時に加工賃が含まれていますから、
例え24金のネックレスだったとしても余程の金価格上昇や美術品的価値が無い限り
譲渡益が得られることはまずありませんし、これは金歯も同様です。
この事からもわかるように、生活用動産は(購入価額>売却価額)となるケースが殆どで、
それに対して課税するには及ばないという考えに基づいています。


ただし、小判や砂金、金貨等生活用動産とは言えない貴金属や骨董品に
分類されるものであればその限りではない点はご注意ください。



<相続財産や投資用財産>

では、親から相続した金の延べ棒や、
毎月積み立てている純金投資や金プレートはどうでしょう?

これは通常、譲渡所得の計算の対象となります。

譲渡所得の計算には、売却価額からその資産を購入した時の代金や手数料(取得価額)、
売却時に発生する手数料等が差し引けます。
取得価額を証明する書類が無い場合は、譲渡価額の5%を
取得価額として申請することが可能です。(概算取得費)


自分で購入した投資用の金プレートや積立投資に関しては、
手元に取得に係る証明書等があると思いますので
それを計算時に利用することになります。


相続した金の延べ棒等は相続時の評価額ではなく、
元々保有していた親族の取得費を受け継いでいますので、
それを使用することになります。


また余談ですが、相続財産の取得費の計算には以下のような特例もあります。


※No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3267.htm




相続税が課税されている人で上記ページの期間に該当する場合は
計算して加算した方が取得費用が増加することになります。




ここまでの説明から、国税庁の計算式を用いて
具体的に譲渡所得の金額の計算をしてみましょう。



<譲渡所得の計算例>

譲渡所得は保有期間により所得の金額が異なってきます。

・短期譲渡所得 所有期間が5年以内の場合
・長期譲渡所得 所有期間が5年超の場合


また、譲渡所得の特別控除として50万円が受けられる事になっています。
短期・長期両方の譲渡益がある場合、特別控除は両方合算して50万円が限度であり、
短期譲渡所得の譲渡益から優先して控除することと決められています。


これらを元に、下記ケースについて計算してみましょう。


【具体的ケース】

前提条件:平成23年中にAさんは以下の物を売却した。
     なお、Aさんの相続財産には相続税が掛かっていないものとする。
     ここでは売却に掛かる経費はゼロとする
     同年中に下記売却以外の総合課税の譲渡益は無いものとする

(1)10年前に貰った18金ネックレス(取得価額:不明 売却価額:5万円)
(2) 8年前に親から相続した金の延べ棒400g(取得価額:不明 売却価額180万円)
(3)11年前にペイオフ対策で購入した金プレート500g(取得価額:50万円 売却価額250万円)
(4) 3年前に歯の治療時に入れた金歯10g(取得価額:不明 売却価額4.5万円)
(5) 4年前から始めた純金積み立て50g(取得価額:16万円 売却価額:22.5万円)


・所得の判定

(1)、(4)は生活用動産として課税対象外
(2)は親の取得費と所有期間を受け継ぐので長期譲渡所得
(3)は営利を目的として反復継続して売買されたものではないので長期譲渡所得
(5)は営利を目的として反復継続して売買されたものではないので短期譲渡所得

譲渡所得の計算の対象は(2)(3)(5)



・所得の計算

<短期譲渡所得>

譲渡益:22.5万円-16万円=6.5万円

譲渡所得の金額:6.5万円-50万円=△43.5万円(長期譲渡所得へ繰越)


<長期譲渡所得>

譲渡益:(180万円-180万円×5%)+(250万円-50万円)=371万円

譲渡所得の金額:371万円-43.5万円=327.5万円

課税される譲渡所得の金額:327.5万円×1/2=163.75万円



となります。


仮に所得税が10%であれば住民税と合わせて
約33万円が課税されることになります。

5%であれば約25万円という結果となりました。


※実際の売却時には最寄りの所轄税務署か税理士へご相談することをお勧めします。
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Author:楽天家業

 大学在学中から事業でお金を貯め、それを元手に卒業後は個人トレーダーとして生計を立てていました。(現在はトレード業務一部復活)

 2008年のリーマンショック時に信用取引による過剰リスク状態で惨敗。そんな手痛い経験もあり、このままの人生で良いのかと自分を見つめ直し、同年からウェブサイトの作成業務、2009年からは独立系FPとして相談業務を行うため、自分の経験を活かして日夜、ファイナンシャルプランナーの分野で活動を行っています。

<略年表>
2009年9月AFP登録
2011年7月CFP登録

 現在、主にFP法人様や執筆関連でお仕事承っております。

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