相続トラブル防止策である限定承認は殆ど利用されていない

相続には3つの選択肢があります

 1.単純承認
 2.限定承認
 3.相続放棄


となります。


単純承認はその名の通り、亡くなった親族(被相続人)の遺産を全て無条件で相続する事です。
仮に相続財産の中に資産だけではなく事業資金や住宅ローン等の借金等があったとしても
全て受け継ぐことになるわけです。

そこで、仮に相続する財産が資産よりも借金等負債の方が多かった場合、
限定承認や相続放棄をする事になります。

限定承認とは受け取った正の財産(現金・不動産等)の範囲内で
負の財産(借金等)を背負います、という宣言を裁判所に申請するシステムです。
仮に被相続人が隠れて借金をしていたとしても、相続したプラスの財産以上の
負債を負担する必要はなくなります。

また、仮に負の財産が明らかに正の財産を超過している事が予め分かっているのであれば
相続放棄という選択肢をとる事になるかと思います。


ただし、事業を承継してそのまま継続する場合は相続放棄するわけにはいきませんし、
かといって限定承認の場合は相続人全てが申請する必要がありますから、
足並みを揃えるには相当の労力が必要になりますし、中々まとまるものではありません。


実際、司法統計年報(家事事件)平成22年度の資料から、
過去9年間の申請件数推移と被相続人との割合を算出して表にまとめて見ると、


相続放棄、限定承認、遺産分割裁判事例


となり、限定承認の対被相続人割合はたったの0.1%である事が分かります。
これは相続放棄件数13.7%や遺産分割事件の1.0%に比べてはるかに少ない数字です。


主要因として挙げられるのが、限定承認の申請条件にあります。
限定承認は相続人全員が相続を知った時から3か月以内に全員で申請する必要があり、
かなり条件が厳しく設定されています。

また、限定承認という方法がある事すら知らない相続人も多い事と思います。

しかし、被相続人が隠れて大きな借金を背負っていた時、
単純承認してしまうと、後から借金の存在に気付いたとしても後の祭りです。
一度単純承認してしまうと原則取消は出来ないからです。
(要素の錯誤や制限能力者等、例外を除く)


相続を争続にしない為にも、事前対策を十分にしておく事が必要になります。


【参考資料】

「司法統計年報 家事審判・調停事件の事件別新受件数(全家庭裁判所)」
URL:http://www.courts.go.jp/sihotokei/nenpo/pdf/B22DKAJ02.pdf

「平成21年分の相続税の申告の状況について(国税庁)」
URL:http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2010/sozoku_shinkoku/index.htm

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Author:楽天家業

 大学在学中から事業でお金を貯め、それを元手に卒業後は個人トレーダーとして生計を立てていました。(現在はトレード業務一部復活)

 2008年のリーマンショック時に信用取引による過剰リスク状態で惨敗。そんな手痛い経験もあり、このままの人生で良いのかと自分を見つめ直し、同年からウェブサイトの作成業務、2009年からは独立系FPとして相談業務を行うため、自分の経験を活かして日夜、ファイナンシャルプランナーの分野で活動を行っています。

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