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【相続税対策】路線価の低い土地から高い土地へ引っ越すと節税になる?を具体的に検証

※2011年12月16日相続税評価額を修正と若干の加筆

書籍「相続はこうしてやりなさい(税理士法人チェスター)」で取り上げられている相続対策の中で、
「小規模宅地等の特例」と「路線価の低い土地から高い土地へ移り住む事」を利用して
相続税を減らそうという方法についてピックアップしたいと思います。


まずは「小規模宅地等の特例」から説明しましょう。


No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
URL:http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4124.htm

<特例の内容>
個人が、相続又は遺贈により取得した財産のうち、その相続の開始の直前において
被相続人等の事業の用に供されていた宅地等又は被相続人等の居住の用に供されていた
宅地等のうち、一定の選択をしたもので限度面積までの部分(以下「小規模宅地等」)
については、相続税の課税価格に入すべき価額の計算上、一定の割合を減額します。
この特例を小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例といいます。(抜粋)


※今回利用する特例部分は⑥番


簡単にまとめると、亡くなった方(被相続人)と生計を供にしていた
被相続人の親族(配偶者や子)が住んでいた家を、その被相続人の親族が
引き続き住む事を目的として相続した場合、一定割合を減額しましょうという制度です。

申請するにはいくつかの条件があるのですがここでは説明を割愛します。

本題は、果たしてこの特例を利用する事を前提として路線価の高い土地に移り住んだとして、
相続税はちゃんと削減できるのか?不動産の取得や売却時の費用、固定資産税の増加分が
削減された相続税分を超えたりしないのだろうか?という疑問を抱いたので、
実際に計算してみようと思ったわけです。



それでは、単純化して計算してみましょう。
計算の前提条件は以下の通りです。


【保有財産】
■預貯金 3億円
■土地・家屋 時価5,000万円(土地4,000万円、家屋1,000万円)500㎡(8万円/㎡の土地)
■土地の相続税評価額 土地3,200万円
■固定資産税評価額 土地2,800万円・家屋700万円
■その他資産・債務無し

<条件>
■東京都在住
■法定相続人の数2人(配偶者1人・子供1人)
■遺産は2分の1ずつ相続(不動産は共有持分)
■現在の土地・家屋を売って新たに取得する(不動産の売買経費はそれぞれ4%で計算)
■土地・家屋は配偶者が相続する
■相続税の「配偶者の税額の軽減特例(※)」を利用する
■固定資産税・都市計画税の税率は1.4%、0.3%とする
■固定資産税の課税標準額は時価の70%とする
■土地の相続税評価額は時価の80%とする(家屋は固定資産税評価額をそのまま利用)
■土地・家屋ともに価格に変動はないものとする
■その他軽減措置や負担調整等は考慮しない


※「No.4158 配偶者の税額の軽減」
URL:http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4158.htm


【相続税の計算】

(1)現状のままで計算

■小規模宅地等の特例による相続税評価額の削減額

 3,200万円×240㎡/500㎡×80%=1,228.8万円


■遺産総額 3億円+(3,200万円-1,228.8万円)+700万円=3億2,671.2万円

■課税遺産総額 3億2,671.2万円-7,000万円=2億5,671.2万円

■相続税の計算(各法定相続人が民法上の法定相続分の遺産を相続したとして計算する)

・配偶者 2億5,671.2万円×1/2×40%-1,700万円=3,434.24万円
・子 2億5,671.2万円×1/2×40%-1,700万円=3,434.24万円

 合計6,868.48万円

■実際の相続税額(上記で計算した相続税総額を各自の実際の相続分で案分計算)

・配偶者 「実際の相続分」=「法定相続分」の為、相続税額は0円(※配偶者の税額の軽減特例)
・子 6,868.48万円×1/2=3,434.24万円

■相続税の支払総額 3,434.24万円



(2)預貯金から追加でお金を出して高い土地に引っ越した場合

【相続財産】
■預貯金 5,000万円
■土地・家屋 時価3億円(土地2億7,000万円、家屋3,000万円)300㎡(90万円/㎡の土地)
■土地の相続税評価額 土地2億1,600万円
■固定資産税評価額 土地1億8,900万円・家屋2,100万円

■小規模宅地等の特例による相続税評価額の削減額

 2億1,600万円×240㎡/300㎡×80%=1億3,824万円


【相続税の計算】

■遺産総額 5000万円+(2億1,600-1億3,824万円)+2,100万円=1億4,876万円

■課税遺産総額 1億4,876万円-7,000万円=7,876万円

■相続税の計算 

・配偶者 7,876万円×1/2×20%-200万円=587.6万円
・子 7,876万円×1/2×20%-200万円=587.6万円

 合計1,175.2万円

■実際の相続税額

・配偶者 「実際の相続分」=「法定相続分」の為、相続税額は0円(※配偶者の税額の軽減特例)
・子 1,175.2万円×1/2=587.6万円

■相続税の支払総額 587.6万円




【経費を加味した手取り差額】

■相続税の支払い差額(1)-(2)

 3,434.24万円-587.6万円=2,846.64万円

■不動産売買経費

・不動産売却時の経費 5,000万円×4%=200万円
・不動産取得時の経費 3億円×4%=1,200万円

 合計金額 1,400万円


■固定資産税・都市計画税増加分の計算
(小規模住宅用地の特例適用・時価の70%が課税標準として計算。東京都基準)

<対策前水準>

・固定資産税
(200㎡/500㎡×2,800万円×1/6+300㎡/500㎡×2,800万円×1/3+700万円)×1.4%=20.25万円

・都市計画税
(200㎡/500㎡×2,800万円×1/3×1/2+300㎡/500㎡×2,800万円×2/3+700万円)×0.3%=6.02万円

 年税額合計 26.27万円


<対策後水準>※300㎡の為、固定資産税の新築住宅特例適用なし

・固定資産税
(200㎡/300㎡×1億8,900万円×1/6+100㎡/300㎡×1億8,900万円×1/3+2,100万円)×1.4%=88.2万円

・都市計画税
(200㎡/300㎡×1億8,900万円×1/3×1/2+100㎡/300㎡×1億8,900万円×2/3+2,100万円)×0.3%=25.2万円

 年税額合計 113.4万円


■税金支払差額 113.4万円-26.77万円=87.13万円


仮に相続対策後5年後に相続が発生した場合、

 支払税額 87.13万円×5=435.65万円


■相続税の実質的な圧縮効果 2,846.64万円-1,400万円-435.65万円=1,010.99万円

となり、相続税対策の結果手取りが1,010.99万円増加したことになります。


ただし、実際の計算とは異なる事や相続税の配偶者控除の有無、
相続財産の引受額によってまた変わってきますので、その点は注意です。
また、取得後の不動産時価評価額が従前の6倍になっていますから、
価格変動リスクが過大になる危険性がある事も注意点として挙げられます。


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相続はこうしてやりなさい(税理士法人チェスター)

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Author:楽天家業

 大学在学中から事業でお金を貯め、それを元手に卒業後は個人トレーダーとして生計を立てていました。(現在はトレード業務一部復活)

 2008年のリーマンショック時に信用取引による過剰リスク状態で惨敗。そんな手痛い経験もあり、このままの人生で良いのかと自分を見つめ直し、同年からウェブサイトの作成業務、2009年からは独立系FPとして相談業務を行うため、自分の経験を活かして日夜、ファイナンシャルプランナーの分野で活動を行っています。

<略年表>
2009年9月AFP登録
2011年7月CFP登録

 現在、主にFP法人様や執筆関連でお仕事承っております。

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