老齢基礎年金受給資格変更案が実施された場合、厚生年金等受給権への影響は?

本日、読売新聞で以下のような報道がありました。


「保険料納付10年で年金受給…厚労省案を提示」(読売新聞)

厚生労働省は、社会保障・税一体改革で基礎年金の受給資格を得られる最低加入期間を
現行の25年から10年に短縮することに伴い、加入期間が短くて現在年金を支給されていない
無年金者の救済策をまとめ、6日の社会保障審議会年金部会に提示した。(中略)

実現すれば現在約42万人の無年金者(65歳以上)のうち、約4割に年金が支給されることになる。
2011年度の年金支給モデル額をもとに計算すると、保険料を20年納めていた場合は
月額3万2875円、10年の場合は同1万6433円となる。

URL:http://www.yomiuri.co.jp/job/news/20120207-OYT8T00221.htm?from=tw


今まで25年間以上加入しなければ事実上掛け捨てとなっていた公的年金が、
10年以上の加入で期間に応じた支給額を受け取れるように法案を改正するようです。
(加入期間の問題で特例等がありますが、そのお話は除きます)

改正法案の基礎年金には国民年金だけでなく、老齢厚生年金や退職共済年金等の
基礎年金部分も含まれるようです。(老齢基礎年金部分)

【参考】「第10回社会保障審議会年金部会資料(受給資格期間の短縮について)」
URL:http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000021kjh-att/2r98520000021knl.pdf


【各年金支給イメージ図】
年金支給イメージ図
※老齢基礎年金は共通


ところで、老齢基礎年金の受給要件に影響してくるという事は、
老齢厚生年金や退職共済年金の受給要件にも影響してくる可能性があります。


例えば65歳から支給される老齢厚生年金の受給要件は以下のように決められています。


「厚生年金保険法」第四十二条

 一項 65歳以上である事
 二項 保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である事


※ここで言う「保険料納付済期間」とは、厚生年金・共済年金加入期間(第2号被保険者期間)
 だけではなく、第1号(国民年金加入者)や第3号(第2号の被扶養配偶者)の期間を含みます。
 他にも諸条件あり。


単純にまとめると、今までは老齢基礎年金がもらえる25年に満たなければ
老齢厚生年金や退職共済年金の支給自体も受けられなかった
わけです。


仮に厚生年金保険法等も同時に改正するのであれば
基礎年金の改正と合わせて受給要件の変更があり得るわけです。

基礎年金部分だけではなく、厚生年金等の受給要件に関しても影響するとなれば
かなり大きい大改革となりそうな気がします。

※この辺りはまだ推測の範囲ですから、過度の期待は禁物です。



ちなみに、これまで無年金者で生活困窮者の場合、
一定の条件を満たせば生活保護受給対象となっていました。
(もちろん対象となっていない人も多くいらっしゃいます)

それらの措置を本来の年金受給権を与える事で保護費の公費負担(主に地方財政)を減らしつつ、
各自に自立した生活を促すとともに、未納期間の影響で25年に達しない納付者が
支払いを滞らせる事を減らす意味でもバランスの良い対策と言えるでしょう。


また、時限立法として先日施行日が確定した国民年金の追納可能期間を10年前まで延長する
「年金確保支援法」と合わせ、国民年金の納付率向上を図る意味もあります。


【参考】「年金確保支援法の施行日が10月1日に決定 国民年金保険料の追納を考えている方に」
URL:http://fpdiary.blog23.fc2.com/blog-entry-226.html


何れにせよ、受給権者の権利拡大は歓迎すべき所だと思います。
権利者保護の視点に立てば、この法案は是非通って頂きたいと思います。



【おまけ】

折角ですから老齢基礎年金の計算方法を解説しておきましょう。
(※ここでは保険料免除期間やカラ期間等合算対象期間(学生納付特例等)は含めず解説します)

現在老齢基礎年金の受給額は、40年間全て納付した満額受給者で788,900円です。(平成23年度)
この場合の計算方法は、

788,900円×{480か月(保険料納付済月数)÷480か月(加入可能月数)}=788,900円

となります。

この、「保険料納付済月数」に、実際に納付した月数を入れてあげれば
自分の年金額が算出できることになります。

仮に、改正法令案である年金受給権が発生する最低期間の10年間・120か月だけ納付した人ならば、

788,900円×(120か月÷480か月)=197,225円 1か月あたり16,435円
788,900円×(240か月÷480か月)=394,450円 1か月あたり32,871円

となるわけです。

ここで記事と金額が少し異なる事にお気づきでしょうか?
これは、年金の支払いの計算時に行う端数処理によるものです。

端数処理は年額計算時に50円未満を切り捨て、
50円以上100円未満を切り上げて50円単位に変更。

年金の支給は2か月に1回、2か月分をまとめて行われる為、
この支給時に1円未満の端数を切り捨て。

という風に行います。

例えば10年納付済みのケースを計算すると、
197,225円の50円未満を切り捨て、年額は197,200円に変更。

2か月に1回振り込まれる時の金額は197,200円を6で割った32,8666.66から、
1円未満を切り捨てて32,866円となり、1か月に直すと16,433円になるというわけです。

おわり
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Author:楽天家業

 大学在学中から事業でお金を貯め、それを元手に卒業後は個人トレーダーとして生計を立てていました。(現在はトレード業務一部復活)

 2008年のリーマンショック時に信用取引による過剰リスク状態で惨敗。そんな手痛い経験もあり、このままの人生で良いのかと自分を見つめ直し、同年からウェブサイトの作成業務、2009年からは独立系FPとして相談業務を行うため、自分の経験を活かして日夜、ファイナンシャルプランナーの分野で活動を行っています。

<略年表>
2009年9月AFP登録
2011年7月CFP登録

 現在、主にFP法人様や執筆関連でお仕事承っております。

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