幼稚園から高校までの子どもの学習費用・過去10年間の推移統計を確認してみよう

文部科学省が発表している統計として、
子供の学習費に関する調査があるのをご存知でしょうか?

【参考】「平成10~20年度・子どもの学習費調査結果(文部科学省)」
URL:http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001012023

この統計には、幼稚園から高校までの在学中に掛かる費用が集計されています。
もちろん学費だけではなく、学校の給食費や、お稽古事や学習塾などの費用も
含まれていますので、1年間の総額を大まかに把握することが出来ます。


では、上記統計を使って、過去10年間に各教育機関毎に
学習費の総額がどのように変化してきたのかを確認し、
公立と私立との費用差を見ていくことにしましょう。


本題に入る前に、教育費用に関する基礎データの確認です。

調査期間である平成10~20年度の教育費に関する物価水準を見てみると、
一貫して上昇し続けている事が分かります。


【消費者物価指数からみた教育サービス物価水準推移】
消費者物価指数からみた教育サービス物価水準推移

※教育関連サービスのうち、公共的に提供されているものと、その他(民間)を分けて掲載
【参考】「平成17年基準 消費者物価指数(総務省統計局)」
URL:http://www.stat.go.jp/data/cpi/2005/index.htm


デフレと言われている最近のデータにもかかわらず、
教育関連費用の高騰は目を見張るものがあります。
(※2010年度の高校無償化以降はその影響を受けて公的50.3、民間100.6となっています。


今回はデータとして利用しない大学関連費用はどうなっているでしょうか?
ここでは国立大学法人の授業料の変遷をデータとして挙げてみます。


【国立大学法人の授業料と入学料推移】
国立大学法人の授業料と入学料推移

【参考】「国立大学と私立大学の授業料等の推移」(文部科学省)
URL:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kokuritu/005/gijiroku/06052921/005/002.htm

【参考】「国立大学法人等 授業料、入学料及び検定料」(文部科学省)
URL:http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/houjin/houjin.htm


先程見た公共サービスの上昇スピードを凌ぐ値上がり率です。
大学の学費が公共教育サービスの物価上昇に与えている影響は
かなり大きいと言えるでしょう。


次に、公立と私立では世帯年収の差が見られる事が挙げられます。
同じく、子どもの学習費調査から以下のデータを見てみます。

【参考】「子どもの学習費調査(平成20年度)5.世帯の年間収入段階別(学習費総額)」
URL:http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001061593


この統計データから作成した表が以下のようになります。

【図1 幼稚園から高校までの公立・私立別世帯年収占有率表】
幼稚園から高校までの公立・私立別世帯年収占有率表


突出して高い数値を出しているのが、公立幼稚園の400~599万円世帯の41.1%と、
私立小学校の1,200万円以上世帯の42.4%です。

1,000万円以上と合わせれば、私立小学校に通わせている世帯の所得割合は、
全体の57.9%という事になります。

高校や幼稚園に比べると、義務教育期間は高所得層が私立に通わせる比率は
とても高い事が分かるかと思います。




それでは本題に入ろうと思います。
まずは、幼稚園から高校までの総額から見てみましょう。


【子どもの学習関係費用の過去10年推移(総額)】
子どもの学習関係費用の過去10年推移(総額)


全て公立の場合なら学習費用総額は2008年度で約530万円、
全て私立の場合で1,609万円でした。


その差額は1,079万円です。
差額の8割は学校教育費、つまり学費等が影響しているようです。


公立は10年前と比べると2.5%総額が上昇しています。
私立は0.9%の上昇となっているようです。

ただし、10年のうち最も安い金額と最も高い金額を比べると、
公立は8.0%・約41万円の差、私立は2.0%・31万円の差でした。
金額的にも比率的にも、公立学校の振れ幅の方が大きいようです。

振れ幅を実感できるように、公立・私立別に10年推移をグラフ化してみました。
また、合わせて、景気の変動が実感できるように期間中の日本のGDP推移表も提示します。

【図2】
高校まで全公立時の学習費総額年次推移

【図3】
高校まで全私立時の学習費総額年次推移

【図4】

日本の実質GDPと名目GDP10年推移
※教育費が景気に対して先行指数的な動きをしていた為、2009年まで伸長して表記


先程の学習費総額のデータを見ると、大きなブレが生じる原因は学校外活動費、
つまりお稽古事や学習塾の費用です。

公立では金額の幅が35万円、私立の場合は29万円あります。
図2.3図4を比べても分かるように、時期的なものを考えれば、
景気に連動して学外活動費も変動していると仮定できそうです。


【参考】「日本における過去10年のGDP推移」
日本における過去10年のGDP推移


ここで取り上げた、文部科学省が発表している「子どもの学習費調査結果」は、
学習費用を予測して費用計算し、将来の積立金額を決定するデータとして
用いられる事が多いのですが、教育費自体の物価変動は考慮していても、
景気の動向による単年度データに与える影響を考慮する必要もありそうだなと、
上記データ推移を見て考えさせられました。



さて、ここからは教育機関毎のデータとなります。
まずは幼稚園から。(以下、費用は全て1年間の平均金額です。)

【幼稚園】
幼稚園の過去10年間の公立・私立別学習費用推移
※保育園は含まず

私立と公立の差は、過去10年間で年間25万円から31万円に拡大しています。
特に私立の学校教育費14.9%と、伸び続けているようです。

逆に、学校外活動費は私立・公立とも減少傾向です。



【小学校】
小学校の過去10年間の公立・私立別学習費用推移
※私立小学校は2004年度以前のデータなし

小学校は大学を除けば最も費用差が激しい数字が出ています。
2008年度・単年度で約109万円ですから、6年分で約650万円も費用差が
発生している事になります。

実際に内訳をみてみると、公立小学校の学校教育費の安さが目を引きます。
これは、憲法第26条による「義務教育は、これを無償とする」が基本理念として存在するからです。

現在は授業料と教科書代について、公立の小・中学校に関しては無償となっており、
それ以外の費用として給食費はもとより、遠足代や学用品の購入、クラブ活動費や
制服の購入費用等が負担として増加要因とされている事になります。

それ以外にも、学校外活動費で年間30万円以上の差が生じています。



【中学校】
中学校の過去10年間の公立・私立別学習費用推移

小学校同様、公立と私立では年額80万円近い差が生じています。

ただし、学校外活動費は公立で上昇傾向、私立で減少傾向となり、
2008年度推計値では逆転現象が発生しています。

小学校に比べれば習い事よりも学習塾に関する費用負担が中心となり、
その費用差があまり発生していないものと思われます。



【高等学校】
高等学校の過去10年間の公立・私立別学習費用推移

義務教育期間に比べれば全体の費用差が縮小しています。
これは高校になれば授業料並びに教材費用が無償ではなくなるからです。
(※高校授業料無償化は2010年度以降実施)

ただし、学校外活動費は中学に比べて費用差が拡大しています。

これは、高等学校卒業後にそのまま就職する人がいる事に
起因しているものと思われます。

公立学校の場合、親の年収が私立に比べて低い(図1参照)傾向が挙げられ、
費用的な面で大学進学を阻んでいる現象が、学校外活動費からも見て取れます。


【参考】「高校生の進路と親の年収の関連について」(東京大学大学院教育学研究科)
URL:http://ump.p.u-tokyo.ac.jp/crump/resource/crump090731.pdf


公立に関しては例えば都立の進学指導重点校等の指定(2001年度より実施)等で、
公的な支援による学校内での補習授業等や教員公募等による
学習塾に頼らない教育が受けらる体制が整えられるなど、
公的な援助体制が地域により異なっており、この点は学習費総額を考える時に
少し気にしなければならない点として挙げられると思います。



<<まとめ>>

以上のように、子供の学習費は世帯所得・景気・物価等に影響を受け、
過去10年間、ある一定の範囲内で少しずつ増加傾向にあると言えるでしょう。

もちろん少子化により、一人あたりに掛けられる学習費の余力が上がっている点も
考えられるとは思われますが、公立の小学校を除いて授業料は増加傾向であり、
消費者物価指数の公共サービスの物価上昇を考えても、
将来の学習費を準備する時には十分な余力を持って準備する必要があると言えるでしょう。


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Author:楽天家業

 大学在学中から事業でお金を貯め、それを元手に卒業後は個人トレーダーとして生計を立てていました。(現在はトレード業務一部復活)

 2008年のリーマンショック時に信用取引による過剰リスク状態で惨敗。そんな手痛い経験もあり、このままの人生で良いのかと自分を見つめ直し、同年からウェブサイトの作成業務、2009年からは独立系FPとして相談業務を行うため、自分の経験を活かして日夜、ファイナンシャルプランナーの分野で活動を行っています。

<略年表>
2009年9月AFP登録
2011年7月CFP登録

 現在、主にFP法人様や執筆関連でお仕事承っております。

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