株価の位置エネルギーと変動速度の関係

皆さんは相場の格言で「上げ100日下げ3日」という言葉をご存知でしょうか?


意味はほぼそのまま、「株価が十分に上がるには100日掛かるけど、
その上げた分を帳消しにするような下げはたったの3日で十分だ。」

という事です。

似たような格言として「天井三日、底百日」というものもあります。


いずれにしても、上値をキープする時間は短く、
下落するのはあっという間という事を示唆しているわけですが、
これは、世間一般に言う"重力"に性質がよく似ていると思いませんか?


そこで、このイメージを物理学で言う「物体の持つ位置エネルギー」に例えて、
1円エネルギー(略称:1enE)」と定義し、
株価水準ごとの1円変動に使用する1enEの値を求める事で、
株価の位置と変動速度の関係を導こうという物です。


ただし、ここでは"変動"の定義を"株価の動き"だけに留めません。

株価が動くには何が必要かと問われれば、間違いなく"出来高"が挙げられるでしょう。
出来高と言うのはその株が取引された総数を表しているものであり、
いわば、株価変動の原動力とも言えます。

出来高によって相場の天底を図る人もいるくらいにメジャーな指標であり、
例えば急騰や急落時には出来高が大きく広がったり、
株価が動かないときは出来高が少なくなったりと、
購入者たちの動向(つまり参加者の総数や資本力)が数字として表される事となります。


この為、今回の検証では株価の位置と変動の方向毎に、
1円動くために使用した出来高を「1enE」として再定義し、
過去1年間の平均株価(240MA)を基準としてそれぞれのデータを
集計する事にしました。


参照に使用するデータは以下の通りです。


【参照データ】

<短期検証>

・期間:2010年1月から12月までの1年間(震災の影響を除く為)
・対象銘柄:トヨタ、マクドナルド、楽天、サイバーA

<長期検証>

・機関:1996年1月から2010年12月までの15年間
・対象銘柄:トヨタ


それでは集計データを見てみましょう。


<短期検証>


【トヨタ】

※前日比±0は計算できない為除外(以下同じ)


株価位置が上位の場合は下位に比べて1enEが全体的に少ない数字となっていますが、
これは売買される平均株価が異なる為、一概に比較できません。

そこで、条件が同じである上位、下位それぞれのカテゴリー内で検証すると、
前日比で上昇よりも下落をした場合の方が1enEが少なくなっています。

つまり、株価が上昇するよりも下落する方が1enEベースで見た場合は
変動に必要なエネルギーが少なく済んでいると言える事になります。

変動にエネルギーが必要ないとなれば、
一旦方向性が出た場合の株価の変動速度は上昇よりも下落の方が速い
といえる可能性がこのケースから判断されます。



【マクドナルド】


下位の場合はデータ不足の為、ここでは参考程度に留めます。
(つまり、年間通して上昇トレンドであったという事)

上位を見てみると、上昇よりも下落の方が1enEが多くなっています。

つまり、上昇トレンドが継続している状況下では、
株価の上昇よりも下落の方がエネルギーを必要とすると言える可能性があるわけです。



【楽天】


今度は上位の方が下位よりも全体の1enEが大きく出てきました。
これは、株価が高い位置にいればいるほどより多くの売買がされている可能性が考えられます。

また、上位、下位ともに上昇よりも下落の方が1enEが少ない数字となっていますが、
あまり有意な差とも言えない数字でした。



【サイバーA】


今度は上位も下位も1enEが同じ水準でした。
株価の位置による参加者のブレが無く、一定して商いされているといえるかもしれません。

また、上昇よりも下落の方が1enEが少ない点は、他と同様の傾向が見られます。





<長期検証>


【トヨタ(長期)】


最後に長期の検証結果です。
トヨタに関してはかなり典型的な数字が出ていて分かりやすくなっています。

・上位よりも下位の方が全体の1enEが大きい
・上昇よりも下落の方が1enEが小さい


この2点が長期に渡って継続しているようです。
ただし、先程の短期の数字よりは上昇と下落の1enEの差が小さくなっている印象があります。



以上から、以下の点は言えると考えられます。


株価の位置に関係なく、上昇よりも下落の方が1enEが少ない傾向はある。

つまり、下落に要する出来高は少ない為、売りが出ると上昇よりも株価の変動スピードは速い。


他にも検証方法がありそうですが、
今日の所はここまで。


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 大学在学中から事業でお金を貯め、それを元手に卒業後は個人トレーダーとして生計を立てていました。(現在はトレード業務一部復活)

 2008年のリーマンショック時に信用取引による過剰リスク状態で惨敗。そんな手痛い経験もあり、このままの人生で良いのかと自分を見つめ直し、同年からウェブサイトの作成業務、2009年からは独立系FPとして相談業務を行うため、自分の経験を活かして日夜、ファイナンシャルプランナーの分野で活動を行っています。

<略年表>
2009年9月AFP登録
2011年7月CFP登録

 現在、主にFP法人様や執筆関連でお仕事承っております。

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