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【書評】相続財産は法人化で残しなさい 阿藤芳明・著

元国税調査官(税務調査官)で、現在は資産税を専門として税務をされている方の書籍です。
相続対策は色々手法があれども、当書籍では不動産を利用した法人化による対策を提示しています。


相続対策と言っても、"相続税"に対する対策は後回しでなければなりません。

相続は、「1に分割、2に納税、3,4がなくて5に節税」といわれます。
相続税対策は分割と納税という高い壁を乗り越えたうえでの工夫にすぎないのです。
(p.19)」

と、著者が本文で述べているように、

・争いの無い分割方法として法人化を選択(あくまでも一選択肢)
・納税資金の準備とその対策
・最後に節税対策


という順序で対策を行う必要があります。

何故ならば、予定された分割方法で相続財産を分配できないと
全ての対策に意味が無くなるからです。


仮に相続財産がある一定額あったとしても、
対策にかかる一時的な費用や継続的な維持費用、それに費やす労力を考えれば
その作業自体が無駄になりますので、比較的費用が抑えられる公正証書遺言等で
適正な遺産分割を考える方が時間的・費用的にもメリットがあります。


とは言え、世の中には資産化と呼ばれる方は多くいらっしゃいますから、
その方々向けの対策として”相続財産を法人化で残す”手法が取り上げられているわけです。


対策の具体的手法ですが、

賃貸不動産を既に保有している、或いは現金を多く保有している場合で新規に取得して対策する場合、
今までの管理型法人(不動産の名義は被相続人のままで、その不動産を管理する会社)では、
賃料収入等に対して一定額の管理料(20%を上限)しか認められないので、
所有型法人にしなさい、としています。

そうすれば、賃料収入全てがその会社の収入となり、
法定相続人(財産を保有している被相続人の血縁者等)を株主並びに役員とし、
被相続人を株主に入れなければ相続時に株券の相続は発生せず、
法人の所有資産はそのまま株主である法定相続人のものとなるわけです。

ただし、この状況を作り出すには幾つかの工程を踏む必要があります。
そもそも"相続財産を相続税以下の負担率で移転"が重要なのですから、
単純に何の負担も無く資産が受け渡しできるなら対策をする必要が無いからです。


書籍で挙げられている要点をまとめると、

・被相続人は株主にしない(相続対策)
・設立費用は借入か贈与で対応(財産移転対策)
・法定相続人一人につき1法人(遺産分割対策)
・役員報酬で賃料収入を相殺(課税対策(法人:損金 個人:給与所得控除))
・上物だけを法人に譲渡し、発生する金銭債権(未払い代金)は債権放棄や債権譲渡で対応
(譲渡益課税を避ける為、帳簿価格での譲渡を行う。建物代金は無利息分割払い)
・土地の無償返還に関する届出書を利用して権利金対策(譲渡益課税と相続税対策
))

土地の賃貸借(無償返還の届け出済み)の場合、土地の相続税評価額が更地評価額の2割引きとなる

辺りが重要なスキームとなっています。
分かりやすく権利関係を示すと、



【権利関係】

<被相続人>(建物:譲渡、土地:保有(賃貸借))

建物売却↓ ↑建物代金(未払)

<法人>(建物:取得、土地:借地) →役員報酬(賃貸収益の移転)<親族(法人の役員)>

賃貸契約↓ ↑賃料支払

<第三者>※収益不動産に居住する賃借人


P.63図6を加筆し引用


となっています。

法人を設立し、役員報酬を利用した所得の移転や経費計上は比較的ポピュラーな課税対策ですが、
そこに不動産をからめたり、各個人での法人化により遺産分割もスムーズに行える点で
相続対策としては一つの選択肢になりうると考えます。

ただし、トータルコストを考えると
あまり一般的な利用はしずらいのではとの印象です。
もちろん、デメリットもありますのでその辺りは本書をお読みください。


【参考】「相続財産は法人化で残しなさい(経営者新書)」(amazon)






おまけ


取り上げられているスキームの中に、建物代金の金銭債権を債権放棄により償却する方法があります。
本書では大規模修繕を利用して一時的に繰越欠損金が大幅に溜った場合は
債券放棄により債務免除を行うと同時に、法人側に益金として計上される債務免除益と
繰越欠損金を損益通算する流れを提示しているのですが、
大規模修繕は全額損金算入できるかと言えばそうでもないようです。


【参考】「第8節 資本的支出と修繕費(国税庁)」
URL:http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/07/07_08.htm


国税庁側の通達では、
法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち
当該固定資産の通常の維持管理のため、又はき損した固定資産につき
その原状を回復するために要したと認められる部分の金額が修繕費(抜粋)


と提示しているので原状回復、つまり通常の修繕範囲であれば
全て経費に計上できると認識したくなるものの、実際はどこまでが資本的支出
(固定資産の価値が高まったり耐久性が増えたりする場合の支出)で、
どこまでが修繕費に該当するかは裁量判断となっているようです。


【参考】『23.10.18 「資本的支出と修繕費」』(光本朋浩のブログ)
URL:http://ameblo.jp/malphaplan/entry-11051723934.html


この辺りの曖昧さが俗に言う「見解の相違」という話につながるわけですが、
専門家でも分からない事(この場合は基準そのものが曖昧)は世の中には色々あるんだという事は
肝に銘じておこうと思いました。

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Author:楽天家業

 大学在学中から事業でお金を貯め、それを元手に卒業後は個人トレーダーとして生計を立てていました。(現在はトレード業務一部復活)

 2008年のリーマンショック時に信用取引による過剰リスク状態で惨敗。そんな手痛い経験もあり、このままの人生で良いのかと自分を見つめ直し、同年からウェブサイトの作成業務、2009年からは独立系FPとして相談業務を行うため、自分の経験を活かして日夜、ファイナンシャルプランナーの分野で活動を行っています。

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2009年9月AFP登録
2011年7月CFP登録

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