消費税の滞納ってそんなに多いの?(国税徴収官のお仕事)

今、高殿円原作小説の「トッカン-特別国税徴収官-」というドラマが
某テレビ局で放映されています。

国税専門官でドラマと言えば伊丹十三監督の「マルサの女」が有名ですが、
あちらは国税局査察部(脱税等の担当)のお話で、こちらは国税徴収部のお話となっています。


ドラマは、国税徴収官は裁判上の令状なしに捜索・差押えの権限が与えられていて
その徴収官と所轄税務署の職員が滞納者から必要な納税資金を徴収する中で色々な事が...
という流れなのですが、第一話を見たらやたらと消費税の滞納者について取り上げられていました。


法人税や所得税ならまだしも、そんなに消費税の滞納ってあるのだろうか?と思い、
実際に国税庁の資料を見てみたらちょいと驚きの数字でした。


以下のグラフは平成23年7月に国税庁から発表された
22年度中に発生した新規の滞納額の内訳になっています。


【平成22年度租税滞納状況(新規発生滞納額)】



【参考】「平成22年度租税滞納状況について(国税庁)」
URL:http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2011/sozei_taino/index.htm


なんとビックリ、消費税が半分を占めてるんですね。


新規発生滞納額がピークだった平成4年度の割合を上記サイトのグラフで見てみると、
各税項目がほぼ同じ比率で発生していますから、明らかに消費税以外の滞納額が減ったと言えます。


滞納発生割合が低下傾向ですから単純に消費税以外の納税意識が高まった...と、
いえなくもないですが、それ以外の理由もありそうです。


これは、各税金の納税額推移をみると少し理由が見えてきます。


【参考】「主要税目の税収(一般会計分)の推移(財務省)」
URL:http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/011.htm


法人税収や所得税収の総額はピーク時の平成元年辺りを境に急速に右肩下がりになっています。
つまり、納める税金の総額が下がってきたので所得税や法人税は総額が下がっているとも
言えるのかもしれません。


それ以外にも、消費税は免税事業者を除いて
赤字の法人や個人事業主でも納める必要がある場合が多いからでは無いかと推察します。


消費税の納税について簡単に説明すると、

仕入れの時に支払った消費税から売り上げた時に預かった消費税を
差し引いた残りの額を納める必要があるわけです。
(※簡易課税制度や仕入れ税額控除、地方消費税等の細かい説明は省きます)


例えばタオルやハンカチ等、織物製品を作ってる企業があったとします。
卸業者への年間の売り上げは6,300万円(内・消費税300万円)と仮定します。


織物製品の原材料は繊維や染料ですから、
それらを他の業者から仕入れる時に消費税を支払っている事になります。


繊維:仕入れ値 4,200万円(内・消費税 200万円)
染料:仕入れ値  840万円(内・消費税 40万円)



仕入れの時に支払った消費税は240万円
売上げた時に受取った消費税は300万円


となりますから、

差し引きで60万円の消費税を納めなければならないわけです。


しかし資金繰りが苦しくなると、この60万円を納めずに運転資金として
使いまわしてしまう場合が発生します。

初めは売上が上がった時に後納付すればなんとかなるものの、
徐々にお金が回らなくなれば何年も滞納し続け、延滞税や利子税を加えて
雪だるま式に滞納税額が増えてしまうわけです。


もちろんそんな赤字企業だけが滞納しているわけではありませんが、
法人税と消費税の税収総額と滞納額とのバランスを考えれば
そんなドラマを垣間見てしまうわけです。


今後消費税の税率が10%になるわけですが、
この滞納税額も大きく増加する事が容易に想像がつきます。

彼ら国税徴収官のお仕事は、更に忙しくなっていきそうです。





関連記事

【スポンサードリンク】

コメントの投稿

非公開コメント

記事内検索フォーム
プロフィール

楽天家業

Author:楽天家業

 大学在学中から事業でお金を貯め、それを元手に卒業後は個人トレーダーとして生計を立てていました。(現在はトレード業務一部復活)

 2008年のリーマンショック時に信用取引による過剰リスク状態で惨敗。そんな手痛い経験もあり、このままの人生で良いのかと自分を見つめ直し、同年からウェブサイトの作成業務、2009年からは独立系FPとして相談業務を行うため、自分の経験を活かして日夜、ファイナンシャルプランナーの分野で活動を行っています。

<略年表>
2009年9月AFP登録
2011年7月CFP登録

 現在、主にFP法人様や執筆関連でお仕事承っております。

最新記事
月別アーカイブ
最近読んだお勧め本

僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。(出雲 充)

【書籍の解説】不可能と言われていたミドリムシの大量培養に成功し、食糧問題からエネルギー問題まで解決の糸口に繋がる手法を模索する社長さんが書かれた本です。
 事業自体はミドリムシ入りのクッキーが世の中で話題になった頃合いに知ってはいましたが、元を辿れば旧ライブドアに直接出資して貰っていた経歴がある等、紆余曲折あって様々な艱難辛苦を乗り越え、少なからず各専門分野の人達に共感を得て徐々に資本関係を構築し、様々なサポートがあって倒産危機を乗り越えながら泥臭く経営してきたという想像だにしない様々なエピソードを持っている事をこの本で知りました。
 上場と言う華々しさに至るまでの苦難の道のりを是非ご覧いただきたいと思います。

アクセスカウンター
09/2/11~
twitter
RSSリンクの表示
リンク
相互リンク随時募集中!
カテゴリ
QRコード
QR