住宅ローン返済遅延でも任意売却を利用して住み続ける方法例

住宅ローンの返済が滞った場合の救済策と言えば中小企業金融円滑化法による
返済期間の延長等返済のリスケジュールや、任意売却、住宅を他人に貸出しての
返済継続等が挙げられますが、任意売却を利用した変形例として
下記サービスが取り上げられていました。


「住宅ローン返済遅延でも賃借で居住継続 不動産会社がサービス 」

 不動産業のランドマーク(静岡市、小倉定行社長)は住宅ローンが返せなくなっても、一定の条件を満たせば賃借人として住み続けることができる任意売却支援サービスを9月に始める。債務者に住宅を賃貸しする投資家を探して物件を売却。住宅ローンより安い賃料を設定しながら、一定の投資利回りも実現する。年間10件の契約を目指す。

URL:http://www.nikkei.com/article/DGXNZO45273110S2A820C1L61000/

(注:日経新聞の電子版に登録していないと記事の詳細は読めません)


実際に上記で取り上げられている条件に当てはまるケースがあるのかどうか、
掲載されている情報を元に、各種諸条件を与えて検証してみます。

【条件】
・フルローンでの借り入れを想定(ローン借入額=当初物件価格(市価))
・新築物件(マンション)を購入後の物件価格(市価)の推移は、
 10年目3割、15年目4割、20年目以降5割()下落を想定
・市場価格に対して競売価格は6割、任意売却価格は7割を想定
・家賃は住宅ローン返済額の7割 (条件A)
・家賃と残債月返済額の合計が、元のローン返済額の9割 (条件B)
・残債の債権(無担保債権)はサービサーに譲渡され、ある程度までカットされた上で
 住宅ローン返済残期間と同等の返済期限で再計算されると仮定(遅延損害金は無視)
 (先に挙げた諸条件により、返済額は元のローン返済額の2割が上限となる)(条件C)

 →条件A,B,Cを検証し、成立するかを判断する

参考URL:http://suumo.jp/edit/chuko/5nenkatuyou/100922/index.html



注:見た目を分かりやすくするため、計算後の1,000円未満は四捨五入

■借り入れ条件

住宅ローン借入額:2500万円
返済期間:35年
返済方法:元利均等
金利タイプ・金利:全期間固定金利 2.35%(保証料込)
毎月の返済額:8.7万円


※金利等はみずほ銀行のケースを参照
 URL:http://www.mizuhobank.co.jp/loan/housing/housing_loan/plan/zenkikan_kotei.html



Q1.15年目に任意売却し、残債が5割カットになった場合

【元家主】
残債:1671.9万円
残期間:20年
任意売却価格:2500万円×60%×70%=1050万円

サービサー譲渡時の残債:1671.9万円-1050万円=621.9万円
5割カット後:311万円
月額返済額:311万円÷20年÷12か月=1.3万円<8.7万円×20%=1.7万円 ※条件C成立

【投資家】
物件取得価格:1050万円
年間の想定家賃収入(表面利回りベース):1050万円×10%=105万円
月間家賃収入:105万円÷12か月=8.8万円<8.7万円×70%=6.1万円 ※条件A不成立

元家主の毎月支払額:8.8万円+1.3万円=10.1万円>8.7万円×90%=7.8万円 ※条件B不成立


A1.この条件では掲載記事条件を満たさず



Q2.20年目に任意売却し、残債が5割カットになった場合

【元家主】
残債:1324.3万円
残期間:15年
任意売却価格:2500万円×50%×70%=875万円

サービサー譲渡時の残債:1324.3万円-875万円=449.3万円
5割カット後:224.7万円
月額返済額:224.7万円÷15年÷12か月=1.2万円<8.7万円×20%=1.7万円 ※条件C成立

【投資家】
物件取得価格:875万円
年間の想定家賃収入(表面利回りベース):875万円×10%=87.5万円
月間家賃収入:87.5万円÷12か月=7.3万円>8.7万円×70%=6.1万円 ※条件A不成立

元家主の毎月支払額:7.3万円+1.2万円=8.5万円>8.7万円×90%=7.8万円 ※条件B不成立


A2.この条件では掲載記事条件を満たさず



Q3.25年目に任意売却し、残債が5割カットになった場合

【元家主】
残債:933.6万円
残期間:15年
任意売却価格:2500万円×50%×70%=875万円

サービサー譲渡時の残債:933.6万円-875万円=58.6万円
5割カット後:29.3万円
月額返済額:29.3万円÷10年÷12か月=0.2万円<8.7万円×20%=1.7万円 ※条件C成立

【投資家】
物件取得価格:875万円
年間の想定家賃収入(表面利回りベース):875万円×10%=87.5万円
月間家賃収入:87.5万円÷12か月=7.3万円>8.7万円×70%=6.1万円 ※条件A不成立

元家主の毎月支払額:7.3万円+0.2万円=7.5万円<8.7万円×90%=7.8万円 ※条件B成立


A3.この条件では掲載記事条件を満たさず




検証の結果、上記条件では条件Aを満たす可能性がとても低い事は分かりました。
条件Aが満たされるには、そもそも投資家が購入するときの任意売却での価格が
十分に低い事が成立のカギと言えそうですから、
この手法による救済が可能な想定ケースは、


・フルローンに近い形で借り入れ
・当初返済期間がそこまで長くない
・毎月の返済額が高い
・物件の市場価格が低い
・任意売却後も残債が多く残る
・返済開始から十分な期間が経っている



辺りの条件が複数必要である可能性が考えれれます。

そこで、上記条件に当てはまるような形に条件を変更してみます。



住宅ローン借入額:2500万円
返済期間:25年
返済方法:元利均等
金利タイプ・金利:全期間固定金利 2.25%(保証料込)
毎月の返済額:10.9万円



15年目に任意売却し、残債が3割カットになった場合(物件価格は市場価格の5割)

【元家主】
残債:1170.7万円
残期間:10年
任意売却価格:2500万円×50%×70%=875万円

サービサー譲渡時の残債:1170.7万円-875万円=295.7万円
3割カット後:207万円
月額返済額:207万円÷10年÷12か月=1.7万円<10.9万円×20%=2.2万円 ※条件C成立

【投資家】
物件取得価格:875万円
年間の想定家賃収入(表面利回りベース):875万円×10%=87.5万円
月間家賃収入:87.5万円÷12か月=7.3万円<10.9万円×70%=7.6万円 ※条件A成立

元家主の毎月支払額:7.3万円+1.7万円=9.0万円<10.9万円×90%=9.8万円 ※条件B成立



このケースでは全ての条件を満たすことが出来ました。

利用できる可能性のあるケースはかなり限定化されそうですが、
任意売却を絡めた一つの手法としてこういうのがあるという事だけは
頭の隅に留めて置こうと思います。

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Author:楽天家業

 大学在学中から事業でお金を貯め、それを元手に卒業後は個人トレーダーとして生計を立てていました。(現在はトレード業務一部復活)

 2008年のリーマンショック時に信用取引による過剰リスク状態で惨敗。そんな手痛い経験もあり、このままの人生で良いのかと自分を見つめ直し、同年からウェブサイトの作成業務、2009年からは独立系FPとして相談業務を行うため、自分の経験を活かして日夜、ファイナンシャルプランナーの分野で活動を行っています。

<略年表>
2009年9月AFP登録
2011年7月CFP登録

 現在、主にFP法人様や執筆関連でお仕事承っております。

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