消費税増税、でもその前に -消費税が掛らない取引がある?-

私たちが普段何気なく支払っている消費税、その増税が決定された今、
家計への負担は免れない状況になりました。

第一生命経済研究所の試算によれば、消費税率10%時の負担増加額は、
世帯年収500万円の場合で年間約12万円と言われています。


この数字を見て、「やはり増税の影響は厳しい」と思う人もいれば、
もしかしたら「おや?」と思う人もいるかもしれません。

世帯年収が500万円ですから、それらが全て消費に回されているとしたら
年間の負担増額は25万円のはずです。

ですが、実際はある程度貯蓄に回されていたり、所得税や社会保険料として天引きされる事で
食費や光熱費のような消費に回される金額はぐっと下がる事になります。


また、消費税が課税されない消費もある事はご存じない方も多いです。
具体的には家賃や医療費でしょうか。


一般家庭が住宅を借りた場合、支払う家賃には消費税が掛らない事になっています。
健康保険が適用される医療費(診察料やお薬代)についても消費税が掛りません。
(ドラッグストア等で販売している風邪薬や湿布などは消費税が掛ります)


このように、消費に回されないお金(貯蓄)、消費とは関係の無い費用(税金・社会保険料)、
消費だけど消費税が課税されない費用(家賃や医療費等)を年収から差し引いた
残りの金額がどの程度かを試算して算出された数字が年間12万円なわけです。


では折角なので、消費税が課税されない取引全般について学んでみる事にしましょう。



<消費税の仕組み>


税務大学校・税大講本「消費税法」第2章の図より引用



消費税が課税されない取引には3つの種類があります。

それは、


1.不課税取引 

  国内において事業として対価を得ることを目的としない資産の譲渡と輸入取引


2.非課税取引

  国内において事業として対価を得て行う資産の譲渡等であっても、
  課税対象になじまないことや社会政策的配慮から消費税を課税しない取引


3.免税取引

  資産の譲渡等について一定の要件を満たした場合(主に輸出取引)について
  消費税を免除する取引


の3つです。

【参考】「No.6209 非課税と不課税の違い(国税庁)」
URL:http://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6209.htm
【参考】「No.6551 輸出取引の免税」
URL:http://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6551.htm

なぜ3つに分けられているかと言えば、各企業が最終的に納付する、
或いは還付を受ける消費税額を決定する為の計算上の問題なのですが、
ここでは話の本筋ではないので置いておきます。


それでは対象となる取引を列挙してみましょう。


■不課税取引の場合

・給与、賃金
・寄付金、祝い金、見舞金、補助金等
・無償による試供品や見本品の提供
・保険金や共済金
・株式の配当金やその他の出資分配金
・資産について廃棄をしたり、盗難や滅失があった場合
・心身又は資産について加えられた損害の発生に伴い受ける損害賠償金(※条件あり)


【参考】「No.6157 課税の対象とならないもの(不課税)の具体例(国税庁)」
URL:http://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6157.htm


■非課税取引の場合

・土地の譲渡及び貸付け
・有価証券等の譲渡
・支払手段の譲渡
・預貯金の利子及び保険料を対価とする役務の提供等
・郵便事業株式会社、郵便局株式会社などが行う郵便切手類の譲渡、
 印紙の売渡し場所における印紙の譲渡及び地方公共団体などが行う証紙の譲渡
・商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡
・国等が行う一定の事務に係る役務の提供
・外国為替業務に係る役務の提供
・社会保険医療の給付等
・介護保険サービスの提供
・社会福祉事業等によるサービスの提供
・助産
・火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供
・一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け
・学校教育
・教科用図書の譲渡
・住宅の貸付け


【参考】「No.6201 非課税となる取引(国税庁)」
URL:http://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6201.htm


■免税取引の場合

・国内からの輸出
・国内と国外との間の通信又は郵便若しくは信書便
・旅行業者が主催する海外パック旅行のうち、企画旅行について(※)

・以下下記リンク先参照

【参考】「第2節 輸出免税等の範囲」
URL:http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shohi/07/02.htm
※参考「海外旅行を取り扱う旅行代理店の消費税の取扱い」
URL:http://lohcame-zeirishi.cocolog-nifty.com/taxnewsletter/2012/05/post-597a.html

と決められているようです。


ちなみに学校関係の消費税の取り扱いは少し複雑で、
検定済教科書等は非課税でも、補助教材は学校が指定したとしても課税取引に該当するようです。

【参考】「第12節 教科用図書の譲渡関係(国税庁)」
URL:http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shohi/06/12.htm

また、有価証券の譲渡自体は非課税ですが、それに絡んで発生する委託手数料等は課税対象となります。


消費税はとても奥が深いので調べて見ると面白いのですが、
個別ルールがとても多くて個人では中々分かりずらい面も多い事が分かります。

これだけ毎日支払っている身近な税のはずなのに全体像が見えずらいと言うのも
なんだか不思議な話だな、と思った次第です。

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Author:楽天家業

 大学在学中から事業でお金を貯め、それを元手に卒業後は個人トレーダーとして生計を立てていました。(現在はトレード業務一部復活)

 2008年のリーマンショック時に信用取引による過剰リスク状態で惨敗。そんな手痛い経験もあり、このままの人生で良いのかと自分を見つめ直し、同年からウェブサイトの作成業務、2009年からは独立系FPとして相談業務を行うため、自分の経験を活かして日夜、ファイナンシャルプランナーの分野で活動を行っています。

<略年表>
2009年9月AFP登録
2011年7月CFP登録

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