機構団信を利用せず収入保障保険で代替?住宅ローン契約者向け銀行窓販

先日、日経新聞に以下のような記事が掲載されていました。


「りそな、収入保障保険取り扱い 住宅ローン契約者向け」
 2012/8/27 2:00日本経済新聞 電子版


 りそな銀行は住宅ローン契約者向けの保険窓口販売を強化する。27日から契約者の死亡後に毎月一定額を支払う収入保障保険の取り扱いを始める。融資申し込み時点から保険の募集ができるように規制緩和されたのを受け、住宅ローン利用者への提案を進める。

URL:http://www.nikkei.com/article/DGXNZO45411490W2A820C1NN7000/


意図してる方向性が団体信用生命保険の代わりとしてなのか、
はたまた大黒柱が亡くなってしまった後の家族の生活費を含めてまでなのか、
販売の戦略と顧客のニーズがどちらに向いているのかはわかりませんが、
ここでは前者として話を進めようと思います。


前者であるなら、民間の住宅ローンは借入金利に団体信用生命保険料が含まれますので、
恐らく住宅金融支援機構のフラット35契約対象者に向けた販売だと思われます。

何故なら、フラット35契約者の団信(機構団体信用生命保険)加入は任意だからです。


機構団信加入者の比率は平成21年度時点で87.3%()となっており、
当初の死亡保険の見直しと合わせ、潜在的な販売余地があると見込まれた上での
戦略だと思われます。

第14回独立行政法人評価委員会 住宅金融支援機構分科会 議事録(財務省)


ちなみにりそな銀行で販売される保険は、
T&Dフィナンシャル生命保険の「家計にやさしい収入保障」となります。

【参考】【家計にやさしい収入保障】無配当収入保障保険(無解約払戻金・Ⅰ型)

こちらを用いて、機構団信加入のケースと収入保障保険のケースを具体的に試算して
比較してみる事にしましょう。


【注意文】

※上記保険は保険料の試算が出来ない為、パンフレットに記載された保険料表を参考に、
 それに合わせる形で住宅ローンを組成したものとして仮定する。

※収入保障保険は本来毎年一定額を年金形式で受け取るタイプの保険だが、
 雑所得の回避を目的とする為、被保険者死亡時に一括請求する事とする。
 (この際、相続税の課税対象となるが、ここでは考慮しない)

※一括請求の場合は保険金総額が年金払いに比べて減額される事に留意し、
 年金支払時の原資は年率1%で運用されるものと仮定して、正味現在価値を求め、
 その金額が住宅ローンの残債と同一になるように設定する。
 例)月額20万円、保険期間30年であれば保険金総額の正味現在価値は約6200万

※元利均等返済の場合、金利水準によっては中途で残債が保険金を上回る為、
 元本の返済シミュレーションを行い、期間途中の残債超過分が発生しない範囲で
 借入額を再調整する。

※収入保障保険加入で発生する生命保険料控除は考慮しない

※フラット35Sのような当初の金利引き下げ期間は考慮しない

※繰り上げ返済は考慮せず、返済期間が満了するまで払い続けたとする




■フラット35の条件

属性:30歳男性
借入金額:5400万円
返済方法:元利均等
返済期間:30年
借入金利:2%

機構団信保険料支払総額:3,248,300円


■収入保障保険の条件

属性:30歳男性
保険金額:年金月額20万円(×保険期間=7200万円(当初正味現在価値6200万円))
保険期間:30年
標準体保険料率:6,080円(月額)-A
健康体保険料率:4,320円(月額)-B

A期間合計:6,080円×12か月×30年=2,188,800円
B期間合計:4,320円×12か月×30年=1,555,200円


■団信保険料との差額

A-機構団信=1,059,500円
B-機構団信=1,693,100円



となりました。

元のローン金額が大きいだけあり、その差も比較的大きな数字となりました。

ただし、収入保障保険の一括受取時の現価計算はあくまでも独自の計算ですから
実際の数字と異なる点は十分に御考慮頂きたいと思います。


また、機構団信は残債に対して一律の保険料率が掛けられており、
繰上げ返済を早期に行えば当然、支払総額も大幅に下がる事も注意です。

民間生保は運営母体が破たんすれば保険金が全額保障されるものではありませんし、
機構団信はあくまでも債務の弁済を目的としていますから、
期間途中の残債超過等を気にする必要もなく、相続時の保険金の受取等も発生しない為、
税金や受取方法を遺族が気にする必要もありません。


加えて、収入保障保険は契約時の年齢が上がるごとに保険料水準が上がる事や、
年金月額が10万円以上とされている為、2000万円前後ほどの物件であれば
保険金の総額が超過しすぎる可能性もあります。


状況の変化に強く幅広くカバーする団信、安定した返済に強い収入保障保険、
と言った所でしょうか。他にも配慮すべき点はありますので、
ご検討される人は十分に理解された上でご利用いただけますよう宜しくお願いします。

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Author:楽天家業

 大学在学中から事業でお金を貯め、それを元手に卒業後は個人トレーダーとして生計を立てていました。(現在はトレード業務一部復活)

 2008年のリーマンショック時に信用取引による過剰リスク状態で惨敗。そんな手痛い経験もあり、このままの人生で良いのかと自分を見つめ直し、同年からウェブサイトの作成業務、2009年からは独立系FPとして相談業務を行うため、自分の経験を活かして日夜、ファイナンシャルプランナーの分野で活動を行っています。

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2009年9月AFP登録
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