住宅ローン控除拡充案の想定控除率推移とシミュレーション

消費税増税に合わせて住宅ローン控除の拡充案が発表されましたが、
その内容がかなりの優遇水準の為、具体的に検証してみる事にしました。


「 住宅ローン減税拡充、期間15年に延長 最大1千万円
財務・国交省検討 消費増税の負担緩和 」2012/9/1 日経新聞


 財務省と国土交通省は住宅ローン減税を拡充する検討に入った。減税期間をいまの10年から15年に延長し、減税額も最大で1千万円規模に増やす。所得税額が計算上の減税額を下回る個人には、差額を住宅エコポイントなどで給付する仕組みも検討する。2014年4月の消費増税による住宅購入者の負担を和らげるのが目的。今年末の税制改正論議で細部を詰め、14年の実施をめざす。


現行制度では、2012年中の居住分に関してローンの年末残高3000万円以下分に対して1%、
年最高30万円が10年で最大300万円、2013年居住分に関しては2000万円以下に対して1%、
年最高20万円が10年で最大200万円となっていました。

しかし、拡充案では2014年中の居住分に関して最大2%
最高減税額1000万円規模となっています。


最大2%という表現になっているので、恐らく過去の住宅ローン控除のように

年末ローン残高上限 5000万円

1-6年目 2% 100万円×5年=500万
7-11年目 1.4% 70万円×5年=350万円
12-15年目 0.6% 30万円×5年=150万円


最大控除額1000万円

という方式になるものと想像されます。


仮に以下の属性の人がいたとして、具体的にシミュレーションしてみましょう。


※使用する数字はあくまでも概算値です



35歳男性(専業主婦の妻あり)
年収:800万円
社会保険料等:120万円(年収の15%)
手取り年収:600万円(年収の75%)
適正ローン返済額(年):600万円×25%=150万円(手取り年収の25%)

所得税:800万-200万-120万-76万=404万×20%-42.75万=380,500円
住民税控除可能額:404万円×5%≒20万円>97,500円 ※97,500円

控除可能合計額:380,500円+97,500円≒48万円

※住民税は均等割り考慮せず。最終計算結果は万円未満四捨五入
※年収は15年間変化無しとする
※適正ローン返済額を元に借入期間からローン総額を計算する


<ローン条件>
借入期間:30年
返済方式;元利均等
借入総額:4500万円(物件価格5000万円)
借入金利:2.3%(全期間固定金利・機構団信込)


・2014年1月から返済開始
・控除率推移は上記参照

2014年末 4395万円×2.0%=88万円-48万円=40万円
2015年末 4287万円×2.0%=86万円-48万円=38万円
2016年末 4176万円×2.0%=84万円-48万円=36万円
2017年末 4063万円×2.0%=81万円-48万円=33万円
2018年末 3948万円×2.0%=79万円-48万円=31万円
2019年末 3830万円×1.4%=54万円-48万円=6万円
2020年末 3709万円×1.4%=52万円-48万円=4万円
2021年末 3585万円×1.4%=50万円-48万円=2万円
2022年末 3458万円×1.4%=48万円-48万円=0
2023年末 3329万円×1.4%=47万円-48万円<0
2024年末 3196万円×0.6%=19万円-48万円<0
2025年末 3060万円×0.6%=18万円-48万円<0
2026年末 2921万円×0.6%=18万円-48万円<0
2027年末 2779万円×0.6%=17万円-48万円<0
2028年末 2634万円×0.6%=16万円-48万円<0


※年末残高は1万円未満を四捨五入

控除対象額合計:757万円
控除超過額合計:190万円

実質税控除額:567万円
住宅エコポイント(予定)還付額:190万円



となるようです。

ちなみに、2013年の水準(ローン残高上限2000万円、期間10年、1%)で計算すると、
実質税控除額は10年目まで年末残高が2000万円を下回っていませんから
年20万円×10年で200万円となり、2013年と14年に大きな差が生じている事になります。

消費税額アップ分は2014年4月以降が3%です。(2014年1-3月引き渡しなら掛からない)
上記ケースで物件価格のうち、土地が半分で上物が2500万円程度だとすると、
土地は非課税の為、負担する消費税額は75万円です。

また、中古物件で個人間、或いは仲介業者を通した個人間の取引であれば
消費税は掛かりませんから、減税がそのまま自己負担の減額につながる事になります。

2013年が取引の大きな谷間となりかねない拡充案である事が分かります。




さて、仮に住宅エコポイントという形で支給された場合、
その全額が一時所得として所得税の課税対象となります。

【参考】「No.1490一時所得Q&A エコポイントの課税関係(国税庁タックスアンサー)」
URL:http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1490qa.htm

ただし、一時所得には50万円の特別控除がありますから、
他に一時所得の対象となる所得が無ければ上記ケースでは課税される事はありません。

住宅ローンは年収次第で借入可能総額が変わる為、
発生する差額は年収が変化しない限り上記ケースとそう変わらないでしょう。

とは言え、中途で転職して年収が落ち込んでしまったりすれば
差額が多く発生する事になりますので一時所得の対象となる金額が
発生する可能性は否定できません。
(その前にそれだけ年収が下がればローンの支払い自体が厳しくなると思いますが)


不動産売買動向に大きく影響を与えかねないこの制度、
消費税増税だけでなく、減税の行く末も見守らなければならないようです。
関連記事

【スポンサードリンク】

コメントの投稿

非公開コメント

記事内検索フォーム
プロフィール

楽天家業

Author:楽天家業

 大学在学中から事業でお金を貯め、それを元手に卒業後は個人トレーダーとして生計を立てていました。(現在はトレード業務一部復活)

 2008年のリーマンショック時に信用取引による過剰リスク状態で惨敗。そんな手痛い経験もあり、このままの人生で良いのかと自分を見つめ直し、同年からウェブサイトの作成業務、2009年からは独立系FPとして相談業務を行うため、自分の経験を活かして日夜、ファイナンシャルプランナーの分野で活動を行っています。

<略年表>
2009年9月AFP登録
2011年7月CFP登録

 現在、主にFP法人様や執筆関連でお仕事承っております。

最新記事
月別アーカイブ
最近読んだお勧め本

僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。(出雲 充)

【書籍の解説】不可能と言われていたミドリムシの大量培養に成功し、食糧問題からエネルギー問題まで解決の糸口に繋がる手法を模索する社長さんが書かれた本です。
 事業自体はミドリムシ入りのクッキーが世の中で話題になった頃合いに知ってはいましたが、元を辿れば旧ライブドアに直接出資して貰っていた経歴がある等、紆余曲折あって様々な艱難辛苦を乗り越え、少なからず各専門分野の人達に共感を得て徐々に資本関係を構築し、様々なサポートがあって倒産危機を乗り越えながら泥臭く経営してきたという想像だにしない様々なエピソードを持っている事をこの本で知りました。
 上場と言う華々しさに至るまでの苦難の道のりを是非ご覧いただきたいと思います。

アクセスカウンター
09/2/11~
twitter
RSSリンクの表示
リンク
相互リンク随時募集中!
カテゴリ
QRコード
QR