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配偶者控除の存在は本当に女性の労働環境に影響を与えているのか

ここ数年何度も論議されながら廃止案の法案提出が見送られている配偶者控除ですが、
2013年度税制改正においても見送りの公算が高くなってきました。

それにしても、なぜ配偶者控除の見直し案が出るのでしょう?

それは、配偶者控除の存在が既婚女性の働き方に
大きな影響を与えているとの考え方が元になっています。


例えば103万円の壁、という話を一度は聞いた事があるかと思いますが、
これは配偶者控除を受けながらパートとして働くために年間の給与収入を
103万円以内に抑える必要があるとの認識が広まっている為です。
(実際は141万円未満まで段階的な控除としての配偶者特別控除があります)

実際、「男女共同参画会議 監視専門調査会(第9回)(PDF)」(男女共同参画局)の資料によると、
既婚女性の給与所得者の所得分布は以下のようになっているそうです。



※内閣府配布資料(第2分野関係)1-1(2p)既婚女性の給与所得者の所得分布(年代別)
 から筆者が加筆修正



この資料を見る限り、確かに100万円前後に所得分布が集中している事が見て取れます。

ただし、先程も述べたように配偶者控除が受けられるのは103万円までですが、
配偶者特別控除の存在も忘れてはいけません。

また、夫の会社で加入している社会保険の被扶養者として認定される130万円未満も
気にされている傾向が上記のグラフからも読み取れます。


「所得控除の今日的意義-人的控除の在り方を中心として-」(税大研究部教育官 田中康男)(PDF)
で述べられている「(1)配偶者控除を巡る問題(配偶者控除廃止論 p.87)」の一文を引用すると、



配偶者控除の是非を巡っては、第一に女性の社会進出やパート労働との問題、
第二に配偶者の内助の功や帰属所得の問題等から、配偶者控除を廃止しては
どうかとする議論(以下「廃止論」という。)が見られるところである。
以下では、これらの議論に対する見解を述べてみる。

第一の問題は、いわゆる「103 万円の壁」という側面から論じられる。
現在、妻がパート労働をする場合、妻自身の課税関係からすると、
基礎控除の38万円と給与所得控除の65万円を合わせて103万円までは課税されない。
また、夫の課税関係からしても、妻の所得が 38 万円以下の場合、
配偶者控除の適用を受けることができる仕組みになっている。
このような仕組みを捉えて、妻が就労を制限しようとする意思が働き、
女性の社会進出を阻害している等の批判があるわけである。

しかし、このような批判は、社会保険負担の問題や企業等における
配偶者手当が税制と同額程度に定められていることにも起因しており、
一概に税制固有の問題として批判されるものではないといえる。
そもそも、夫婦のいずれが働くか、又は「家事労働に従事するかは
租税制度により決められるわけではなく、課税以前の要因により
(夫婦間で)決定される」ものである。

(引用終わり)


として、所得の分布の偏りは配偶者控除が全ての原因ではないとしています。

ここで先ほどのグラフを見ると、20代の既婚者の所得分布には偏りが無く、
課税関係に寄らず夫婦間で就労状況が決定されている一つの裏付けとも言えますし、
逆を言えば既婚者でも年代が進むごとに100万円前後への集中が発生しているのは、
子供が生まれるごとに時間の自由がある程度作れるパート労働へと自分の意志で
就労方法を変更しているともいえる可能性もあり得るわけです。


また、先ほどの論説でも挙げられていたように、
夫の所属先企業の配偶者手当の影響も無視できません。


平成22年就労条件総合調査結果の概況」(厚生労働省)を見ると、
族手当を支給している企業(従業員が30人以上)は全体の65.9%に上ります。


また、「労政時報 第3817号(2012年3月9日)(PDF)」(株式会社労務行政)によると、
家族手当を導入している企業の中でも、配偶者の制限条件として全体の62%が、
所得税法上の控除対象となる配偶者”と規定している事からも、
この制度の存在が就労状況へ影響している可能性は否定できないと言えるでしょう。

実際、同資料の家族手当の支給額(配偶者のみ)の平均値は月額約1.5万円であり、
年額18万円を捨ててまで制限を超えて労働するインセンティブはあまり感じられない事が分かります。


このように、配偶者控除の存在のみが女性の労働環境を決定づける要因とは言えず、
その多くは複合的な物である事は認識しておく必要があるでしょう。

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Author:楽天家業

 大学在学中から事業でお金を貯め、それを元手に卒業後は個人トレーダーとして生計を立てていました。(現在はトレード業務一部復活)

 2008年のリーマンショック時に信用取引による過剰リスク状態で惨敗。そんな手痛い経験もあり、このままの人生で良いのかと自分を見つめ直し、同年からウェブサイトの作成業務、2009年からは独立系FPとして相談業務を行うため、自分の経験を活かして日夜、ファイナンシャルプランナーの分野で活動を行っています。

<略年表>
2009年9月AFP登録
2011年7月CFP登録

 現在、主にFP法人様や執筆関連でお仕事承っております。

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