確定拠出年金にターゲットイヤー型などのデフォルトファンドは必要か?

先日12月7日、東京証券取引所で開催された以下のシンポジウムに参加しました。


【参考】「転換期を迎える年金制度 - 年金の将来と確定拠出年金の拡充に向けて」


【開催内容と出演者】

・基調講演(1)「老後保障における私的年金(企業年金)の役割と課題」
 臼杵 政治 名古屋市立大学経済学研究科教授

・基調講演(2)「確定拠出年金制度の現状と今後の課題」
 浦田 春河 タワーズワトソン ベネフィット部門ディレクター

・パネルディスカッション 「企業年金の将来と老後資産形成」
<モデレーター>
 永森 秀和 (株)格付投資情報センター 編集部長 兼 年金情報編集長

<パネリスト>
 臼杵 政治 名古屋市立大学経済学研究科教授
 浦田 春河 タワーズワトソン ベネフィット部門ディレクター
 山崎 俊輔 企業年金連合会 会員センター調査役 確定拠出年金担当



の流れで進行が行われました。


ここで大きく議論されたのが、リスク性商品を中心としたデフォルトファンド
の導入は必要かどうかという点です。


デフォルトファンドとは、確定拠出年金(以下DC)加入者が自ら商品を選択しなかった場合に
自動で買い付けられる投資先商品として設定されたものであり、
規約ベースで見て現行でも全体の6割ほどが導入しています。(※P.23)


※【参考】企業年金連合会
2010年度確定拠出年金制度に関する実態調査(第3回)」(PDF)
(以下上記資料を参照先とする)


しかし、リスク性商品を選択した場合の責任追及を恐れてか、
デフォルトファンドの設定割合は全体で56.3%に達しながら、
その97.4%は元本確保型商品(預貯金63.5%、保険商品33.9%)に偏っています。

従業員の運用状況を見ると、掛金ベースで56.5%、資産残高ベースで60.8%が
元本確保型の商品に振り分けられている事が分かります。(P.19)

このように、運用状況がデフォルトファンドと同じような水準で推移しており、
運用に関心が無い、リスクを取りたくない、或いは理解していない層が
多くの資金を元本確保型商品のみで運用している実態があるわけです。


しかし、上記基調講演(1)で示された下記の資料を見てみると分かるように、
米国ですらDB(確定給付企業年金)とDC(更に401k)の運用パフォーマンスが
DBよりもDCの方がリスクが高くリターンが低いという不合理な状況が生まれています。



※臼杵政治 名古屋市立大学経済学研究科教授 作成資料抜粋



臼杵教授によれば、このような結果に陥るのは

1.リバランスが行われていない
2.アセットアロケーションそのものに問題がある


と基調講演内で指摘していました。



アメリカのDC(401k)の資産構成は以下の図の通りとなっており、


※日本証券経済研究所「米国の確定拠出値金30年の推移から日本のDCビジネスを考える」(PDF)
3.運用内容の変化(1)より抜粋


日本がリスク性商品4割の状況と比べて米国では直近が8割程であり、
適切なアセットアロケーションとリバランスが行われていない事によるパフォーマンスの変化は
日本の保守的なポートフォリオ構成よりも受けやすい状況となっている事も
影響しているものと思われます。


このように米国ですら上記のような状況であることを踏まえ、日本のDC制度としては
合理的な行動を加入者に取らせるにはもちろん継続的な投資教育が必要ではありますが、
そもそも初めから適切なリバランスやアセットアロケーション設定をしてくれる
バランス型ファンド(MSCIワールド・インデックスベース)や、
年代別に負担できるリスク量のコントロールまでしてくれるターゲット・イヤー型ファンドを
デフォルトファンドとした方がよりベターではないか、
というのが意見として挙げられていました。



<おまけ>

その他、直近の厚生年金基金制度見直しに関する事案から、
集団運用型DC(※)についても触れられていました。


※企業単位で資産運用委員会(労働組合や従業員の代表、資産運用に関する専門的知識・経験を
有する者などで構成)を設置し、当該委員会を通じて加入者等に運用商品の選択肢を提示する方式。

【参考】「厚生年金基金制度の見直しについて(第1回厚生年金基金制度に関する専門委員会)(PDF)」

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Author:楽天家業

 大学在学中から事業でお金を貯め、それを元手に卒業後は個人トレーダーとして生計を立てていました。(現在はトレード業務一部復活)

 2008年のリーマンショック時に信用取引による過剰リスク状態で惨敗。そんな手痛い経験もあり、このままの人生で良いのかと自分を見つめ直し、同年からウェブサイトの作成業務、2009年からは独立系FPとして相談業務を行うため、自分の経験を活かして日夜、ファイナンシャルプランナーの分野で活動を行っています。

<略年表>
2009年9月AFP登録
2011年7月CFP登録

 現在、主にFP法人様や執筆関連でお仕事承っております。

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