相続税の地域別納税状況と基礎控除額の問題(税務統計より)

相続税の基礎控除削減の話はここ数年議論され続けていますが、
毎年見送りになっており、自民党政権下に入った今年も調整がつかない状態です。


【参考】「相続税、都市部で負担増 基礎控除見直し、調整難航も」(日経新聞)


相続税は対象となる資産額から差し引く「基礎控除」も縮小する方向で検討に入ったが、
この水準を巡り自民党内で意見が分かれている。

地価の高い都市部に影響しやすい基礎控除の水準については、調整が難航する可能性がある。



そもそも相続税の納税額が地域ごとにどう異なるのかが分かりません。

そこで、国税庁の税務統計から相続税に関する課税状況を参考に、
地域別の納税総額や相続人一人あたりの納税負担額等を割り出してみましょう。


【参考】「税務統計(相続税)1-(3)国税局別の課税状況」より
※「金額」「一人あたり」の単位は百万円


※この数字はあくまでも「相続税を納めたケースの人達」です。
年間の相続発生件数(被相続人数)は平成21年で114万件もあり、
そのうちの4%ほどしか相続税の納付対象になっていないという事になります。
ちなみに相続税の申告書の提出先は亡くなった人(被相続人)
が住んでいる地域を管轄する税務署(海外在住を除く)となり、
財産を受け取った人(相続人)が住んでいる場所ではありません。

【参考】「No.4205 相続税の申告と納税」(国税庁)



上記を見てもわかるように、東京は納付した相続税の総額が約50%を占め、
一人あたりの納付税額も群を抜いて高い数字が出ています。

単に富裕層が多く、高額な相続税発生者が平均を押し上げていると言えなくはない所ですが、
相続財産に占める宅地と家屋の割合が44%程度(同資料5-3相続財産種類別・参照)と
高い事が影響しているともいえ、逆を言えば相続税が発生している範囲の統計ですら44%も
占めているという事は、更に相続財産の少ない範囲では"土地持ち現金なし層"が
多くいる可能性をどう捉えるかが基礎控除改正時には争点となる事が分かります。


ちなみに東京の人口総数は東京都総務局統計部「東京都の人口(推計)」によると、
2012年12月段階で1,322万人であり、総務省統計局「人口推計(平成23年10月1日現在)」による
同時期の全国人口1億2780万人の10.3%に過ぎません。

約10%の人口を占める地域から約50%もの相続税が納付されている現状を考えれば、
潜在的な納付対象者の存在を考えると、”地価の高い都市部への影響”というのも
考えざるを得ないのは確かなのでしょう。


もちろんその中には"選挙対策"という言葉も当然含まれるわけですが、
課税の公平性と言う観点から見れば小規模宅地等の特例(※1)や
夫婦間の居住用不動産の贈与の特例(※2)、配偶者の相続税額の軽減(※3)などの
各種軽減策や、宅地や家屋の相続税評価額は実勢の取引価格よりも元々数十パーセント
抑えられている(※4)事も踏まえて広く議論されるべき問題なのは確かです。

※1【参考】「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
※2【参考】「No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
※3【参考】「No.4158 配偶者の税額の軽減
※4【参考】「No.4602 土地家屋の評価
(国税庁)
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Author:楽天家業

 大学在学中から事業でお金を貯め、それを元手に卒業後は個人トレーダーとして生計を立てていました。(現在はトレード業務一部復活)

 2008年のリーマンショック時に信用取引による過剰リスク状態で惨敗。そんな手痛い経験もあり、このままの人生で良いのかと自分を見つめ直し、同年からウェブサイトの作成業務、2009年からは独立系FPとして相談業務を行うため、自分の経験を活かして日夜、ファイナンシャルプランナーの分野で活動を行っています。

<略年表>
2009年9月AFP登録
2011年7月CFP登録

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