講演会「証券投資における取引費用と高頻度取引」を聴いてきました

一橋大学大学院国際企業戦略研究科主催(日本取引所後援)
の講演会に本日参加してきました。

テーマは以下の通りとなります。


【第一部】 証券ポートフォリオ運用と取引費用
投資信託等の証券ポートフォリオの運用のパフォーマンス評価と、
運用における取引執行の重要性について

「投資信託のパフォーマンス」
「取引における柔軟性と市場への流動性供給」

【第二部】高頻度取引と市場の効率性
高頻度取引と市場の効率性に関して、日本の売買制度や取引システムの特徴、
米国における高頻度取引の実証研究について

「日本の証券市場の現状と売買制度・取引システムの特徴」
「高頻度取引と市場の効率性」


第一部はCAPM理論のお話と、理論上のαと運用上のαの差について、
そしてその原因としての流動性コストによるパフォーマンスの低下についてでした。

特にファンドの運用上発生する取引コストは売買代金だけではなく、
必要量の売買時に発生するスプレッドで発生するコスト(流動性が低い(板の厚みが無い)と
必要以上に価格が変動して売買される事になり、理論値よりもパフォーマンスが低下する)
も考えなければならない旨、解説がありました。

特に日本市場はラージキャップ(大型株)、スモールキャップ(小型株)ともに不利との事。



第二部は高頻度取引(HFT)についてです。

東証の説明としてまずは足元の状況から。
2010年1月のarrowhead(アローヘッド)稼働後、
最大の注文件数が発生したのは2013年5月23日の暴落時で約3,800万件
(2006年のライブドアショック時は上限が450万件)となり、
更にサーバーを増設して足元は9,600万件まで処理可能まで対応したとの事。

これだけ増加したのはもちろん人間の手による取引だけの話ではなく、
東証が提供するコロケーションサービス(※)を利用した売買状況(以下の図)
を見ても分かるように、6月7日時点では市場の全注文・約定に対して
注文件数が65%前後、約定件数が50%近くまで迫っており、
一日の売買の半分がコロケーションサービスを利用した取引となっています。

※取引参加者用の取引所内に設置された専用サーバーで、
 取引所システムとの物理的距離を短縮できるサービス





ただし、コロケーションサービス経由の注文・約定が全てHFTの物ではない点は注意です。
また、平常時におけるコロケーションサービス経由による注文状況は以下の図の通り。






これを見るとトレンドフォロー型、かつ常に反対売買が行われており、
一方向へボラティリティを拡大させるような状況にはなっていません。


また、日本銀行発行の、
「日銀レビュー(2013年1月)株式市場における高速・高頻度取引の影響」
によれば、アローヘッド導入後の流動性は向上していて(資料内図表3)、
ボラティリティ低下にも寄与している事が示唆されており(資料内図表7)、
HFT等の売買注文は市場にとっては中立ないしポジティブな内容となっています。


ただし、急激な株価変動等ショック級の動きが発生した時にはボラティリティが高まる
リスクについても否定しておらず、HFTが必ずしも中立的でない事だけは挙げておきます。
(この点は東証資料のコロケーション経由の取引がトレンドフォロー型である事を考えれば
可能性として考えられる範囲の話ではありますが...)


上記に加えて、気配値としての信頼性の問題もあります。
アメリカでは最良気配(売り板と買い板の先頭の注文)が1秒間に108回もの
価格並びにサイズの変更がなされる事があるそうで、
1,000分の1秒単位に2回の注文が出される事もあり、
流動性が確実に提供されているとは言い切れない面もあります。

ですが、講演会での資料と解説では投資家に不利益な方向には
データ上は出ておらず、市場は効率的かつランダムウォークしていると
結論付けられていました。


今回の講演内容については以上となります。
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楽天家業

Author:楽天家業

 大学在学中から事業でお金を貯め、それを元手に卒業後は個人トレーダーとして生計を立てていました。(現在はトレード業務一部復活)

 2008年のリーマンショック時に信用取引による過剰リスク状態で惨敗。そんな手痛い経験もあり、このままの人生で良いのかと自分を見つめ直し、同年からウェブサイトの作成業務、2009年からは独立系FPとして相談業務を行うため、自分の経験を活かして日夜、ファイナンシャルプランナーの分野で活動を行っています。

<略年表>
2009年9月AFP登録
2011年7月CFP登録

 現在、主にFP法人様や執筆関連でお仕事承っております。

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